はじめてのR22操縦(その4)

Day-1

ヘリコプター操縦で必ず習得しなければならないホバリング。初心者にとってホバリングは非常に難しいので、時間は少なくても毎回必ず練習することにします。

テールローター

はじめに、尾部の小さいローターについて話しておきます。エンジンが頭上のメインローターを駆動すると、機体は反作用でメインローターと逆方向に回転しようとします。米国製ヘリコプター(R22も)のメインローター回転方向は反時計回り(上から見て左回転)なので、機体は右回転しようとします。それを防ぐため、テールローターが最後尾で右方向への推力、つまり機体を左回転させる力を発生させて打ち消しています。これで機首方位を安定させることができるのです。

テールローターの推力を変えるのが、両足で操作するペダルです。回転数は変えずに、ブレードのピッチ角を変化させて推力を強弱させます。機首を左に向けたいとき左ペダルを踏むと、テールローター・ブレードのピッチ角が大きく(深く)なり、推力も大きくなって機体を左に回転させることができます。反対に、機首を右に向けるには右ペダルを踏みます。テールローター・ブレードのピッチ角が小さく(浅く)なって推力も小さくなるため、メインローター回転の反トルクが勝って機体を右に回転させることができます。メインローター回転のトルクに対抗することから、アンチ・トルク・ペダルともいわれます。

ホバリング

吹き流しを見ると地上付近はほぼ無風です。きっと、初めてのホバリング練習にはいい日なのでしょう。訓練生の私は右席に座っており、左席教官の操縦でホバリングしています。

左右どちらの席でも同じ操作ができるようになっています。右手で操作する(サイクリック)スティックは、真ん中から突き出た1本の棒が左右に分かれています。また、左手で持つ(コレクティブ)レバーと両足のペダルは、左右それぞれに付いていますが機械的につながっているので同じ動きをします。これで私の操作をすぐに補助してもらえますね。

初めてなので、左手レバーと両足ペダルは教官が持ったまま、右手スティックのコントロールだけを任されました。すると、地面の少し上で静止していた機体が、すぐに右方向へと流れていきます。メインローターが反時計回り(上から見て左回転)のヘリコプターの特性で、ホバリング中はメインローターをやや左に傾けた状態にしないと、反トルクを打ち消すテールローターの推力により右側に流れてしまうのです。

これまでに教わった理論がよく体感できます。これを防ぐため、R22の場合は右手スティックを少しだけ左側に押しておくことが必要です。これで右にドリフトすることはなくなります。でも、機体が少し左に傾いているため、何かイヤな感じがして落ち着きません。操縦している私の姿勢も傾いているので余計な力みも出てしまいます。

ホバリング高度を一定にする左手レバー操作と、その操作に伴うトルク変化で機首方位が変わらないようにする両足ペダル操作を教官にお任せしているので、私は右手スティックで前後左右の水平位置が動かないように操作するだけでいいんですが、R22は右に左に、前に後ろにと、大暴れしてしまいます。

一度だけコントロールを三舵とも渡されましたが、右手スティックだけでも安定させられないのに、両手両足を自由に扱えるはずがありません。体のセンサーをフルに駆使して揺れを収めようとしますが、どうにも止まりません。ずれを感じて修正操作を加えるまでに頭で考える瞬間が必要なので、あて舵に時間がかかりすぎているようです。つまり、反応が遅いっ!てことですね。右手スティック操作も大きすぎるようだし…。

GPS記録

初めてのR22ホバリングでは、左右への動きは分かりやすいので比較的早めに手を打ちやすい(とは言っても止められるわけではない)が、前後のずれが分かりにくいように感じました。機首が下がって前のめりになったり、それを抑えようとして逆に機首が上がり過ぎ、後進を始めるという始末です。これも視界の広さが影響しているのでしょうか。

ところがGPS記録を見ると、私の感じと少し違っていました。北を向いてホバリングの練習をしたのですが、南北(前後)方向に最大12メートルほどの動きだったのに対し、東西(左右)方向にはその倍近い23メートルほどもふらついていたようです。

例えば苫小牧消防のヘリパッドは、20メートル四方の正方形の中に直径約7メートルの丸と「H」ですから、私のホバリングでは四角い外枠からもはみ出ているンですね。やれやれ。2日目以降はもっと縮めるゾ。

※ 冒頭の写真は苫小牧市消防本部、2017年10月21日、やぶ悟空撮影

初日のホバリング訓練は10分間。大汗の長い10分でした。止めるべき位置が発散していくばかりで、収束させる感覚は全くつかめませんでした。まぁ、いきなりできるはずはないですね。伸びしろがあると思えば、この先の訓練が楽しみです。

初日はこれで終了。とても楽しい1時間の飛行訓練でした。(2日目につづく