はじめてのR22操縦(その10)

Day-5

風のある5日目の後半、オートローテーション着陸の訓練を受けました。GPSの記録から振り返ってみます。

「オートローテーション」って

私自身の言葉で正しく説明できる自信がないので、内容にイマイチの感はありますが、Wikipediaから引用することにします。

エンジン故障などによって動力を失ったヘリコプターでもすぐには墜落しないように、オートローテーション(自動回転)と呼ばれる飛行方法によって緩やかに降下できるよう工夫されている。(略)オートローテーションは、エンジンとローターとを切り離して、機体の降下によって生まれる空気の流れからメインローターの回転力を得る飛行方法であり、推力を生むメインローターだけでなくテールローターや補機類も駆動される。基本的に、ヘリコプターはオートローテーションによって、全てのエンジンが停止しても安全に着陸することができる。(略)ヘリコプターの操縦に必須の技術とされており、ヘリコプターパイロットは必ずその訓練を受ける。(以下略)」(Wikipedia

オートローテンション中は特にメインローター回転数の維持が重要です。回転計と速度計をこまめにチェックして、機体のピッチ姿勢(右手スティック)を調整します。回転が上がり過ぎるようならメインローター・ブレードのピッチ角(左手レバー)で調整します。回転数の低下は揚力の低下となるのでもちろん厳禁ですし、回転が上がり過ぎても駆動系に悪影響を与えるので避けなければなりません。回転計(エンジン:E、ローター:R)のグリーンバンドは、R22ではわずか101~104 % RPM(O-360エンジンの場合)の範囲です。

接地するまでクラッチを切ったまま無動力で行う「フル・タッチ」オートローテーションは、失敗すると機体を壊すおそれがあるので、通常の訓練では行いません。私のような初心者は、安定した降下の後、エンジン回転を戻してクラッチをつなぎ、フレアをかけてホバリングするという「パワー・リカバリ」で行いました。

オートローテーション着陸

再び風が少し西に回ってきました。ティアドロップTGL(私の勝手な造語)で、西向きのオートローテーションを行うことにしました。北東方向に高度1,000フィートまで上昇して右旋回し、西に向いて着陸地点上空に接近します。タイミングを見計らってオートローテーションに入れた地点を「Ent-1」と「Ent-2」で示しました。

この日は風があるためショート(手前の接地)になりがちです。風にほぼ正対して高度1,000フィートでスポット上空に向かい、着陸目標地点が計器パネルに隠れるぐらいまで近づいてからオートローテーションに入れます。教官の指示どおり開始するだけですが、そのタイミングを計るには風を読まなければならず、難しそうです。

逆に言えば、実際にオートローテーション着陸を行わなければならない状況になったら着地点の選定範囲はごく限られ、実質ほぼすぐ下の付近だけになります。降りられるところに降りるしかないわけです。常にそのことを意識して不時着場所を確認しながら飛ぶのだそうです。

人口密集地域では、固定翼機が不時着できる場所はほとんどありません。公園など広い場所には人がいるので不時着はためらわれます。その点、ヘリコプターは狭い場所でも着陸できますが、オートローテーション着陸の場合は、前進速度を50ノット以上に保たなければフレアが効かないので、やはりある程度の長さ(広さ)は必要なのです。

降下率

GPS記録から降下率を見てみます。2回のオートローテーションはこんな感じです。高度グラフでは、ずいぶん急な降下だったように見えますね。計算すると、2回とも毎分1,850フィートの降下率になりました。(fpm : feet per minute)

この日、最初に通常進入した4本と、このオートローテーション2本を比較してみます。いずれもほぼ西向きの最終進入ですが、風の状況は進入ごとに少し異なっていたでしょうね。

通常進入では4本ともファイナルコースがまっすぐですが、オートローテーション進入ではエントリー前後のコースが直線になっていません。メインローターをエンジンから切り離したとき、トルクの影響がなくなるのに足ペダルの操作が対応できていなかったようですね…2回とも。

GPS記録の描画にいつも使わせていただいているフリーソフト「カシミール3D」の3D機能で比較してみます。これだと目で見たような進入状態を再現できそうです。

4回の通常進入では降下率が毎分540~600フィートでしたので、一目で降下角の違いが分かりますね。

速度

GPSでは対気速度が分からないので、平面的な対地速度をグラフにしました。上のグラフが西向きの1回目、下が2回目です。

強い風に向かってオートローテーション進入した1回目の対地速度は、40ノットほど。対気速度計で基準(Pilot’s Operating Handbook)の65ノットを維持していたとすると、上空の風は25ノット? そんなに吹いていたかなぁ。2回目のオートローテーションでは対地速度45ノット(風20ノット?)ほどでしょうか。

アメダスの記録によれば、この日この時間帯は平均風速が約10ノット、最大瞬間風速18ノットほどで、北西~西北西の風でした。オートローテーション中は降下率が大きいので、GPS記録により計算された対地速度では、降下中の対気速度を推定するのに無理がありますね。数値は見ず、速度の変化傾向だけ読み取ることにします。

オートローテーションに入れ、クラッチがエンジンを切り離した直後に速度が低下ぎみになるのは、やむを得ない気がします。その後、ローターの回転数を維持するように増速したということでしょう。水平距離で数百メートルは定速で降下しています。1回目はショートになりそうになり、フレア開始が早くなったのでしょうか、だらだらと減速しています。2回目はエントリーポイントをわずかに遅らせ、いい感じの減速グラフになっているように思います。

初オートロの分析

前回(その9)紹介した、何も分からないまま終わってしまった私の初オートローテーションのGPS記録も見てみます。北向きの着陸でしたが、配置上、図を90度左回転させてあります(左が北)。

通常進入、オートローテーションとも、ファイナルコースが若干曲がっていますね。また、オートローテーションでは着陸目標の手前にショートしてしまったようです。風の影響でしょう。通常進入の降下率を計算すると毎分550フィート、オートローテーション中は毎分約1,700フィートの降下率となりました。

速度グラフは、西向きオートローテーションの2回目に似ています。着陸場所が広いので、ショート・ランディングを気にせずフレアをかけたようです。

5日目の訓練はここまで。オートローテーションの面白さが分かってきた感じです。これを極めたいナ。次回も楽しみです。(6日目につづく)

※ 冒頭の写真は、ロビンソン式R22系列型の型式証明書(部分)、2011年12月撮影