苫小牧と情報収集衛星(その3)

さて、3回目にしてようやく苫小牧にある地球局の話です。

苫小牧の地球局(北受信管制局)

苫東(とまとう)と言われる苫小牧東部地域に「北受信管制局」があり、周辺には石油備蓄基地の巨大なタンク群が立ち並んでいます。

)苫小牧東部石油備蓄基地(国土地理院の地図・空中写真閲覧サービスの写真をベースに使用)

)苫小牧東部石油備蓄基地、2014年12月、やぶ悟空撮影

新千歳空港の離着陸時にこの石油備蓄基地がよく見えるので、その付近に目をこらすと2つの丸いアンテナドームを見つけることができます。石油タンクに比べると非常に小さいですけど…。

株式会社苫東のwebサイトに立地企業リストがあり、「公的企業一覧」のトップに「内閣衛星情報センター北受信管制局」が掲載されています。その「事業内容」は「人工衛星による情報収集」と書かれており、地図は載っていません。

)株式会社苫東のwebサイトより

それなら…とGoogleマップを見てみました。きれいに写っていますね、さすがGoogle。情報収集衛星よりキレイかも…。

)苫小牧市にある情報収集衛星の北受信管制局(Googleマップより)

丸いアンテナドームは2つとも同じサイズで直径約21メートル、約310メートル離れています。長方形の敷地の北東と南東の角にアンテナのコリメーション用と思われるタワーが建っており、遠い方のアンテナドームからそれぞれ約390メートル離れています。(いずれもGoogleマップの距離測定機能による)

)北受信管制局の全景、2018年3月10日、やぶ悟空撮影

)苫小牧のコリメーション鉄塔とアンテナ、2018年3月10日、やぶ悟空撮影

※ 「コリメーション」とは、高速で上空通過する衛星を正確にポインティングして追尾できるよう、鋭い指向特性を持つ地球局アンテナ装置の性能を検証することを言います。

行方市の副センターと阿久根市の南受信管制局は、離れた敷地にアンテナコリメーション用のタワーが建っていますが、苫小牧局の場合は同一敷地内に設けられたようです。北海道では平坦で広い敷地が低コストで確保できたということなのか、近距離でも高精度のコリメーションが可能な技術的側面があるかもしれません。

解像度チャート

敷地内に解像度チャートらしき図形(白線60本からなる円)が見えます。この円の直径は約44メートルです。円に外接する正方形の各辺は、東西南北を向いているようです。これは、光学衛星の解像度を確認するための図形でしょう。

)苫小牧の解像度チャートらしきものと南側のアンテナドーム(Googleマップより)

行方市の副センターと阿久根市の南受信管制局にも似たような図形が見えますが、解像度チャート(らしきもの)は4分の1サイズの90°分だけです。これらの地球局は次回に紹介する予定です。

それにしても、Googleが提供している写真の解像度はずいぶん高いですね。この場所は衛星写真ではなく航空写真を使っているのでしょうけど…。国土地理院が2011年11月10日に撮影した空中写真には、この解像度チャートらしきものは写っていませんが、2015年7月にはこの模様が上空から見えていました。

)新千歳空港を離陸上昇中の旅客機から、2015年7月5日、やぶ悟空撮影

セキュリティ

まだ苫小牧市の住民ではなかった2014年12月のこと。苫小牧の地球局正面から写真撮影していたとき、警備員にやさしく声をかけられました。

)苫小牧地球局の警備員、2014年12月、やぶ悟空撮影

情報収集衛星の地球局が苫小牧にあることを知って見に来たことを説明し、この施設ですねという私の問いかけには答えず、写真撮影は遠慮してほしいと言われました。地球局であることが分かるような記載は何もなく、撮影禁止を示す看板などもありません。公道上からの撮影でもあり強要口調ではありませんでしたが、路肩に停車したレンタカーのナンバーは控えられました。

いまやGoogleの衛星・航空写真でいろんなものが見える時代です。多額の税金を使っている国の施設ですから、情報の公開や国民への説明もせざるを得ないですね。ネットに公開されている情報などを詳しく見ていくだけでも、宇宙システムの知識がある人はある程度のことは分かってしまうでしょう。セキュリティの強化も大変ですね。

※ 最初の写真は、北受信管制局のアンテナドームと苫小牧東部石油備蓄基地の巨大タンク、2018年3月10日、やぶ悟空撮影

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