はじめてのR22操縦(おまけ2)

飛行訓練を始めてまだ5日目というのに、スロープ(傾斜地)への着陸と離陸の訓練を体験しました。実際の斜面ではなく、図のように、左スキッドをほんの少しだけ高い段差に乗せるという方法です。

スロープの着陸と離陸

まずはホバリングします。これだけでも十分難しいンですが…。「はじめてのR22操縦(その4)」にも書いたとおり、メインローターによるトルクを打ち消すテールローターの推力のため、ホバリングで静止するには右手(サイクリック)スティックを少しだけ左側に押し加減にしておくことが必要です。このとき、メインローターの回転面は、水平から左へわずかに傾いています。

ゆっくり降下し、左のスキッドだけを地面に着けた状態でホバリングします。まだそんな芸当ができる腕前ではないのでスキッドが擦れてゴリゴリしますが、とにかく我慢! その状態から徐々にもう片方のスキッドを下ろします。このとき機体が傾いてもメインローター回転面が変わらない(水平から左へわずかに傾いたまま維持する)ように、右手(サイクリック)スティックを少しずつ左側に倒しながら、左手(コレクティブ)レバーをゆっくり下げていきます。

実際にやってみると、左上がりの傾斜はほんのわずかなのに、かなり大きな右手スティック操作が必要な感覚でした。通常の飛行では、右手スティックを左右に大きく動かすことなんて、ないですからね。両スキッドが地面に着いたら、ゆっくり慎重に左手レバーをいっぱいに下げます。この訓練のような段差ならいいのですが、実際の斜面では滑り落ちそうになったら直ぐに離陸できるよう、気を緩めてはいけないところです。ホッとできるのは、接地後しっかりと両方のスキッドに荷重をかけて、安定してからです。

そこから離陸するときは、着陸と逆の手順です。機体は右に傾いていますが、メインローター回転面が水平から左へわずかに傾く位置になるように、右手スティックをいつもより左側に操作した状態で左手レバーをゆっくり慎重に引き上げ始めます。スキッドへの荷重が抜けてくると、ゴリゴリしながらどちらかの方向に移動しようとします。その兆候をつかんだら直ぐに右手スティックで修正を加えながら、まず右スキッドだけを浮かせます。この間、着陸時と同じように右手スティックの左右大きめの操作が必要です。機体が水平になったら、あとは通常の離陸と同じです。

もうお気付きかもしれませんが、R22のようにメインローターが反時計回りのヘリコプターの場合、この訓練とは逆向きで、右スキッドを山側にした方がより傾斜が大きな斜面に離着陸することが可能になります。メインローターが左右に傾く限界角が同じなので、テールローター推力で左に傾く分の差ですね。

実際の斜面では、進入から着陸、そして離陸し安全高度に上昇するまで、テールが斜面山側に近づかないよう、足ペダル操作にも細心の注意が必要です。風は正対風が望ましいですが、山側からの吹き下ろし風だと右手スティックをさらに左へ押すことになり、より厳しくなります。さらに左右の重心位置が右に寄っていたりすると、最悪のコンディションに近付きます。体重が重い方はご注意を!

FAAの資料によれば、山側のスキッドが接地したら、右手スティックをほんのわずかだけ山側に当てるよう、書かれています。もう片方のスキッドを接地させるまでの間、そうやって山側のスキッドをホールドするのだそうです。確かにそうなのでしょうが、右手スティックの山側への操作が大きいとダイナミック・ロールオーバー(下で説明)につながりやすいので、かなり上級者向けのテクニックのような気がします。

ダイナミック・ロールオーバー

ヘリコプターの横転はダイナミック・ロールオーバーといわれ、高速で回転しているメインローターが地面をたたくので、その反動で機体が急激に回転して大きく損傷し、結果的に大事故になりやすいと言えます。

傾斜地での事故は、谷側ではなく山側に転ぶことの方が多いそうです。右手スティックの修正操作がつい大きくなりがちで、山側のスキッドが地面に引っかかりやすいということでしょうか。自分でやってみると、谷側に滑り落ちるのがイヤで山側への操作が大きくなりがち…という理由のような気がします。あるいは、斜面ゆえの視覚的な誤認のようなものがあるのでしょうか? お尻センサーの感度をいっぱいに上げて、慎重な操縦操作が必要ですね。でも身体が強ばっては逆効果なので、リラックス、リラックス。

ダイナミック・ロールオーバーは平地でも起きます。たぶん、斜面より平地の方が、発生件数は多いのではないでしょうか? 原因はさまざまですが、その一つに障害物があります。こんな感じ。

傾斜地への離着陸はできるだけ避ける、また平地であっても常に細心の注意を払って接地し、浮揚する…いつも基本に忠実に操縦することが大事ですね。