はじめてのR22操縦(おまけ3)

トラッフィック・パターン

座学で教えていただいた、場周経路を飛行するときの目安を図にしました。

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1. ホバリング

離陸スポットでスキッド高約3フィート(ロビンソン社は5フィートを推奨)でホバリングすると、しっかりと「地面効果」を感じることができます。メインローターの直径分~半分以下の高度(メインローターと地上との高さ)が地面効果内(IGE)といわれ、ダウンウォッシュと地面・水面との相互作用(押す力)により、上空より少ないパワーでホバリングできるのです。R22のメインローター直径は約25フィート(8メートル弱)、スキッドとメインローターの間隔は約9フィート(3メートル弱)なので、スキッド高3フィートでも5フィートでもIGEホバリングとなります。

IGEホバリングはフワフワしたゴムボールの上に乗ったように感じます。ホバリング中はテールローター推力によるドリフトを打ち消すため、メインローター回転面はわずかに左に傾いていますが、その位置からわずかでもずれるとスッと沈み込むのを感じます。メインローターのトルクを打ち消して機首方位を維持するため、左ペダルを少し踏み込んでいます。

2. 離陸

IGEホバリングから右手(サイクリック)スティックを少しだけ前方に押します。高度が下がらないように左手(コレクティブ)レバーを引き上げると同時に、機首方位が変化しないように左ペダルをさらに踏み込みます。ガバナーが効いているので、スロットル(左手グリップ)はいっさい操作する必要がありません。

やや機首下げ姿勢で前進し始めると、メインローターの進行方向側に生じる揚力が反対側に比べて大きくなり、ジャイロ効果によりメインローター回転方向に90°進んだローター左側が持ち上げられる力が生じ、機体は右に流れる傾向が出ます。これが「貫流速効果」で、右手スティックをやや左前方に操作して対処します。

対気速度20ノット程度(座学メモでは16~24ノット)で自然に上昇率が大きくなります。これは毎回ハッキリと感じる「転移揚力」です。速度が上昇してくると急に機首が持ち上げられる感じです。きれいに上昇を続けるには、転移揚力の発生を予測して速度が減少しないよう遅れずに右手スティックで機首上げを抑え込む操作が必要です。対気速度50ノットまでは足ペダルで機軸を進行方向にきっちり合わせます。速度増加に従って左ペダルの踏み込みがいらなくなるので、少しずつ戻します。

MAP(吸気圧)が約23inHgとなるTOP(離陸出力)で、対気速度53ノット(Vy:最良上昇率速度)を維持して上昇を続けます。TOPは離陸時や復行時に5分間だけ使用することができます。対地高度500フィートになったらMAPをMCP(連続最大出力)の約22inHgまでわずかに絞って(でも22inHgを切らないよう)上昇を続けます。MAPは左手レバーの引き上げ加減で、速度は右手スティックで機体のピッチ姿勢を変えて調整します。

3. 第1旋回

アップウィンドからクロスウィンドへは、まだVy上昇が続いており高度も十分獲得できていないので、バンク角を20°までに抑えた上昇旋回です。ロールレートも意識してゆっくりにします。諸条件によって異なりますが、クロスウィンドで水平巡航高度(ここでは1,500フィートだが、800フィートの場合が多い)にレベルオフします。

4. レベルオフ

50フィート手前(高度1,450フィート)から右手スティックを押し、速度53ノットから70ノットに増速します。その後、MAPを約18~19inHgに合わせ、高度1,500フィート、対気速度70ノットを維持できるよう左手レバーを少し下げます。

5. ダウンウィンド

クロスウィンドからダウンウィンドへ、ダウンウィンドからベースへは30°バンクで水平旋回し、高度一定で速度も70ノットを維持します。レベルオフ後、油圧や油温、シリンダーヘッド温度を確認しておきます。通常時の値を知っておくと、異常発生を早期に検知できます。ダウンウィンドでは毎回ランディングチェックを行い、無線交信を行います。

6. ベース

第3旋回終了後、対気速度70ノットから65ノットに減速しつつ降下を開始します。ベースからファイナルへは標準30°バンクの降下旋回ですが、状況に応じバンク角を調整してファイナルコースにアラインさせます。

7. ファイナル

ファイナルコース上の目標地点上空で対気速度60ノット、適切な高度になるよう進入します。風の状況によって減速の程度が変化するので、タッチ・アンド・ゴーを繰り返す場合は最初の進入時に風を把握しましょう。

対地高度300~400フィートまでは対気速度60ノットを維持し、機体姿勢を変えずに左手レバーで進入パスをキープします。減速開始は左手レバーを下げてから右手スティックを引きます。

8. 着陸

進入パスを変えずに徐々に減速していきます。転移揚力がなくなってきて沈み込みが大きくなるのをはっきり感じるので左手レバーを引き上げ、行き足が止まらないよう右手スティックを中立側にやや押します。左手レバーの引き上げと同時に左足ペダルを踏み込み、機首方位が変わらないようにします。対気速度50ノット以下の低速になると対気速度計が当てにならなくなるので、速度は感覚で判断します。

※ 略語(ABC順)

  • AGL:Above Ground Level、地上高
  • ft:feet、フィート(1 ft = 0.3048 m)
  • IGE:In Ground Effect、地面効果内
  • inHg:inch Hg、水銀柱インチ
  • kt:knot、ノット(1 kt = 1.852 km/h)
  • MAP:Manifold Pressure、吸気圧
  • MCP:Maximum Continuous Power、連続最大出力
  • TOP:Take Off Power、離陸出力

※ 冒頭の写真は、千歳基地に向かう航空自衛隊UH-60Jヘリコプターと双発旅客機の飛行機雲、2017年4月10日、やぶ悟空撮影