横津岳、アンテナ散策2

横津岳、アンテナ散策1」からの続きです。 てっぺんに積まれた石が北海道の形にも見えます。背後は対空受信所と駒ヶ岳。

航空路監視レーダー以外にも、横津岳には同じく国土交通省東京航空局の無線施設があります。横津岳RCAGの対空送信所と対空受信所です。

  • RCAG : Remote Center Air-Ground Communication、遠隔対空通信施設

妙な名付けですね。航空管制官が、航空路を飛行する航空機と無線通信を行うための施設がRCAGです。その送信機と受信機は横津岳にありますが、ヘッドセットをつけた管制官は札幌(航空交通管制部、ACC)にいるので、「遠隔(Remote Center)」と言うのです。

  • ACC : Area Control Center

)RCAG網(2013年4月1日現在、航空局webサイトより)

RCAG配置図が航空局のwebサイトにありました。5年以上前の古い情報のままですが、大幅な増減などはないということでしょう。

)横津岳の無線施設配置(国土地理院の地理院地図を使用)、赤色は徒歩の航跡

対空送信所

横津岳RCAGの対空送信所はレーダーサイトの南東にありました。

)横津岳RCAG対空送信所

左上の写真に、気象レーダーと無線中継アンテナが見えています。四角い二段の鉄骨に取り付けられた長いアンテナがVHF用で、短いのがUHF用送信アンテナです。民間機はVHF波を、軍用機はUHF波を使います。1周波数あたり送信機が2台あり、それぞれ別のアンテナにつながっています。ほかに予備のVHFUHFアンテナも設置してあるので本数が多いですね。アンテナの位置や高さも工夫されています。冬になると、鉄骨ごと樹氷モンスターになってしまうようです。

横津岳RCAGの上空を大型旅客機が通過していきました。

  • VHF : Very High Frequency、超短波
  • UHF : Ultra High Frequency、極超短波

対空受信所

一方、横津岳RCAGの対空受信所は、レーダーサイトを挟んで送信所の反対側、北西にあります。

)横津岳RCAG対空受信所

背後に道南の秀峰・駒ヶ岳(標高1131m、横津岳とほぼ同じ高さ)が見えます。その麓に大沼国定公園の大沼・小沼が拡がっています。

対空受信所は送信所とほぼ同じ構造で、受信用のアンテナは送信用と同じものです。

横津神社と雲井沼

山頂への道から少し外れて分け入ると、横津神社があります。

神社前の小さな雲井沼には睡蓮(スイレン)の花が咲いていました。神社の北西方向が頂上で、航空路監視レーダーが見えます。その反対側に対空送信所や気象レーダーを望む、という位置関係です。

エゾオヤマリンドウ(蝦夷御山竜胆)の花に次々と潜り込むのに忙しいハチも、ここで勤務中。

もう一つの無線中継所

さて、対空送信所の近くに無線中継所があり、複数の監視カメラが周囲をにらんでいました。警告用のスピーカーまで付いています。NTTにしてはずいぶん厳重…、どこの無線施設だろ?

この無線施設は、どうやら「陸上自衛隊 横津岳無線中継所」ではないかと思われます。電力契約の入札公告が出ており、住所は北海道亀田郡七飯町字大川790番となっていました。番地までは確認できませんでしたが大川地区のはずれに位置しているし、横津岳と名付けていて、他にそれらしき無線中継アンテナは見当たりませんから…。

気象レーダー

横津岳の標高1100メートル以上のエリアには、もう一つ、重要な無線施設があります。函館地方気象台の「横津岳気象レーダー観測所」です。

)横津岳気象レーダー

北海道内には複数の気象レーダーがあるので、別にまとめて紹介したいと考えています。横津岳気象レーダーについては、そちらの記事をお待ち下さい。

「電波」って、目に見えなくて分かりにくいイメージが強く、私自身いまだに苦手意識があります。でも電波なくして今の世の中は成り立ちません。北海道の大停電が起きなくても、「電気」のありがたみなら誰でも分かっているはずですよね。「電波」はその重要な働きを理解されることも少ないのですが、しっかりと社会のインフラを支えているのです。

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※ 写真はすべて、2018年9月18日、やぶ悟空撮影

コメント

  1. イカゴロ より:

    RCAG対空送受信所のアンテナを含め、横津岳のアンテナ群の種類、その用途が非常に勉強になりました。この度の”横津岳、アンテナ散策”シリーズは、勝手ながら自分自身の永久保存版資料とさせていただきます。
    ちなみに、鳳文書林から平成24年1月に発行された「ATC入門-IFR編-」の”UNIT.4.RJSI to RJCH”ページに、著者から依頼された横津ARSRの写真を出版社に提供したことがあります。その写真を確認してみると、今回のやぶ悟空さんの記事から旧ARSR/SSRアンテナのレドームであることが解りました。第二版増刷の際には、ぜひ、やぶ悟空さんの新たなSSR(Mode-S)写真を使用するように発行元に進言しようと思います。その時にはよろしくお願いいたします。
    では、次回の専門分野の関連記事を心待ちにしています。

    • やぶ悟空 やぶ悟空 より:

      「永久保存版」とは光栄です。横津岳はアクセスしやすく眺めもいいので、いつかまた行ってみたいと思っています。