北海道の気象レーダー 1

気象レーダーが進化しているようです。あと1時間ほどで雨になりそうとか、いま降っていても間もなく上がるだろうなど、気象予報士でなくてもスマホで手軽に推測でき、それが良く当たるようになったと思います。これは気象レーダーの性能アップによるものに違いない!

どこにある?

気象レーダーって、どれぐらいの数がどこに設置されているのでしょう? 北海道内に限って探してみました。

)北海道の気象レーダーマップ

この図は気象庁と北海道開発局の気象レーダー(どちらも国土交通省)です。10か所にあることが分かりました。他にも研究機関や民間の気象レーダーがあるかもしれませんが定かではありません。

気象庁のレーダー

気象庁のwebサイト「気象レーダー」によれば、北海道には札幌、釧路、函館の3か所に気象レーダー観測所(図の赤丸)があります。(2018年5月現在)

  • 札幌:毛無山(けなしやま)、アンテナ海抜高 749.0 m
  • 釧路:昆布森(こんぶもり)、アンテナ海抜高 121.5 m
  • 函館:横津岳(よこつだけ)、アンテナ海抜高 1141.7 m

昆布森気象レーダー観測所は海岸線に近い丘ですが、毛無山と横津岳の気象レーダー観測所は山上に設置されています。

これらの他にもう一つ、以前からある気象庁の気象レーダーを知っています。新千歳空港の空港気象ドップラーレーダー(図の青丸)です。DRAWといわれるこのレーダーは、道内空港にはこの1か所しかありません。(2018年5月現在)

  • 新千歳DRAW、アンテナ海抜高 60.7 m(2000年にDRAWとして更新整備)

DRAW : Doppler Radar for Airport Weather、空港気象ドップラーレーダー

新千歳空港のドップラーレーダーは、離着陸時の風向や風速の急変(低層ウインドシアー)を高分解能で検出できるよう、アンテナを大型化し送信パルス幅を狭くするなどして、航空機に影響を及ぼす気象観測に重点を置いた気象レーダーと言えるでしょう。

電波の周波数に着目すると、いずれもCバンド(4~8GHz帯)、その中でも5GHz帯を使用しています。(GHz:ギガヘルツ、MHz:メガヘルツ)

  • 毛無山:5345 MHz
  • 昆布森:5345 MHz
  • 横津岳:5360 MHz
  • 新千歳:5280 MHz

※ 5000 MHz = 5 GHz

あえて「ドップラー」とうたっていないCバンドレーダーでも、今ではドップラー気象レーダーが常識になっています。ドップラー効果(救急車のピーポー音の変化に例えられる)により雨粒の動きを検出できるので、雨の強さだけでなく風向・風速も分かるようになったのです。

開発局のレーダー

少し意外ですが、北海道開発局もレーダーを運用しています。「レーダ雨雪量観測所」(図の橙色丸)と名付けていますが、これも気象レーダーです。道内4か所の千メートル級の山に設置されています(道東は低いですが…)。

  • 道央:ピンネシリ、標高 1100 m(1987.11設置)
  • 道南:乙部岳(おとべだけ)、標高 1017 m(1990.11設置)
  • 道東:霧裏山(むりやま)、標高 613 m(1992.11設置)
  • 道北:函岳(はこだけ)、標高 1129 m(1993.10設置)

このレーダ雨雪量計システムは、約30年も前から北海道にあったんですね。知りませんでした。一般には「レーダ雨量計」と言われるようですが、北海道では「雪」が入って「レーダ雨雪量計」とされているようです。冬に大雪や暴風雪をもたらす低気圧の観測も、北国では重要ですからね。

開発局のこれら4基のレーダーも、気象庁のレーダーと同じくCバンド帯を使っているそうです。具体的な周波数までは分かりませんが、5GHz帯です。

XバンドMPレーダ

これまでに掲げたCバンド気象レーダーの他に、近年ではXバンドMPレーダというレーダ雨量観測所(気象レーダー)が急速に増えました。Xバンドとは、Cバンド帯より高い周波数の8~10GHz帯のことで、気象レーダーとしては約9GHzの周波数を使用します。一般にレーダーの周波数を高くすると、観測できる距離が短くなりますが分解能(解像度)が高くなります。つまり、Cバンドレーダーの方が広範囲をカバーでき、Xバンドの方が細かいところまで見えるようになります。

さらに、MP(マルチパラメータ)という、二重偏波観測が可能なレーダーなのだそうです。「偏波」について正しく分かりやすい説明ができる自信がないので省略しますが、水平と垂直の偏波の組み合わせにより雨粒の形(粒径分布、つまり降雨強度)をより高精度に観測できるようになった、と私は勝手に解釈しました。

北海道開発局のXバンドMPレーダは、北広島と石狩の2か所にあります(図の緑色丸)。いまでは国土交通省の「XRAIN」、あるいは気象庁の「高解像度降水ナウキャスト」として防災に欠かせない情報ソースになっているので、特に意識しないままご利用の方も多いことでしょう。

XRAIN:eXtended RAdar Information Network、エックスレイン

  • 北広島レーダ雨量観測所(2013.3設置)
  • 石狩レーダ雨量観測所(2014.1設置)

Xバンドのレーダーは探知距離が短いので山上に設置する必要性は薄く、いずれも平地にあります。

レーダーサイト

ここまでに紹介した10基の気象レーダーのうち、今年は6か所のレーダーサイトを訪れました。残り4か所(ピンネシリ、乙部岳、霧裏山、函岳)は北海道開発局のCバンドレーダーで、函岳以外は一般の車両では近くまで入れず、アクセスが容易でないことが分かりました。よって未達ですが、いずれこの目で見る機会をうかがっているところです。

次回以降、訪れたそれぞれの気象レーダーサイトを紹介する予定です。お楽しみに。

※ 冒頭の写真は毛無山気象レーダー、2018年8月2日、やぶ悟空撮影

※ 気象庁では「レーダー」、北海道開発局では「レーダ」としているので、そのまま混在させています。私自身の表現は「レーダー」としました。RADAR : RAdio Detection And Ranging)