北海道の気象レーダー 5、新千歳

新千歳空港にある気象レーダーは、同じ気象庁でも毛無山、昆布森、横津岳の気象レーダーとは少々違っているようです。その名を「空港気象ドップラーレーダー」(DRAW:Doppler Radar for Airport Weather)といい、航空機の離着陸に危険を及ぼす低層ウインドシアーと呼ばれる風の急変域を検出する気象レーダーです。

北からターミナルビル方面に向かうと、右手に現れる政府専用機の格納庫の近くにレーダーが見えてきます。建物に「気象庁」と大きく書いてあるので、すぐ分かります。

入口の脇には「新千歳航空測候所 ドップラーレーダー局舎」とあり、現局舎は2000年に竣工しました。

気象庁webサイトの情報では、

  • アンテナの海抜高度:60.7 m
  • 地上からの高さ:40.1 m

とされています。球形のレドームは直径が約11メートルで、その中に直径7.1メートルのパラボラアンテナが入っています。気象庁の他の気象レーダーは直径4メートルとのことで、かなり大型化されています。

DRAWパラボラアンテナ(那覇航空測候所webサイトより)

パラボラ径を大きくすると、電波のビームが絞られシャープになります。ビーム幅が0.7°だそうです。ビーム幅が狭いほど方位分解能が良くなり、同じ範囲でもより細かく識別できることになります。

(同じ距離にある2つのターゲットを識別できる最小の方位角、つまり「方位分解能」を出したので、「距離分解能」にも触れましょう。こちらは、同じ方位にある2つのターゲットを識別できる最小の距離のことです。送信パルス幅を狭くすると距離分解能が向上します。新千歳DRAWの送信パルス幅は1μs(マイクロ秒:0.000001秒)で、距離分解能が150 mだそうです。)

DRAWには次の2種類の観測モードがあり、気象状況によって自動的に「空域」から「飛行場」にモードが切り替わるそうです。

  • 空域モード(通常観測、6分毎、仰角 0.7°~28.5°)
  • 飛行場モード(周辺重点観測、マイクロバーストは1.2分毎、仰角 0.7°~45.9°)

気象庁が全国をカバーしている気象レーダー(道内では、毛無山、昆布森、横津岳の3か所)の探知範囲は半径約250 kmですが、空港気象ドップラーレーダー(DRAW)は半径約120 kmとされています。(降水観測:半径120 km、シアーライン検出:半径60 km、マイクロバースト検出:半径20 km)

今回は技術的な内容が多くなってしまいましたが、北海道にある気象庁の気象レーダーの最後に「新千歳DRAW」を紹介しました。

※ 特記のない写真は、2018年10月1日、やぶ悟空撮影