タワー

例年より暖かい11月上旬、自転車でのんびり市内を散策していると、こんなタワーを見かけました。コンクリート製で、デザインにも少し工夫がこらされているように見えます。上の方に3か所、等間隔に踊り場が設けられているところをみると、何かの観測塔でしょうか?

住所は苫小牧市川沿町1丁目3番、住宅街の中で、JR線路の近くです。看板などは見当たりません。敷地は一部が土盛りされ、法面の細工にも何か意味があるように見えなくもありません。

見上げると、登るためのハシゴが付いています。避雷針があるし点検用に必要なンでしょう。ただ、下の方の数段は外され、安全のため容易に取りつくことができないようになっていました。

タワーの基部はこんな形でカッコイイ。丸い穴にはハートマークとともにこんな落書きもありました。

そこに接地標識が付いていました。接地板が埋設されたのは昭和55年12月とのこと。タワーの建設も同じころでしょうから築40年近くになります。思ったほど古くないンだ。

でも、それ以上のことは分かりません。誰が何のために立てたの? 今も使ってるの?

)現在のタワー(出展:Googleマップ)

小さな公園のような敷地内にある建物の壁に「苫小牧市下水道部」の看板がありました。下水に関する施設なのかな? これをとっかかりに探してみましょう。

図書館で「目で見る下水道50年のあゆみ」という冊子を発見、その中にこのタワーの写真を見つけました。

)出展:下水道事業50周年記念誌「目で見る下水道50年のあゆみ」(苫小牧市下水道部、平成14年9月発行)、42ページ

この場所は「糸井中継ポンプ場」なんですね。「昭和56年3月31日運転開始」と記載されています。タワーは「換気塔」のようです。同じ形状の塔が市内の下水処理センターの換気塔として建っていますから、間違いないでしょう。

苫小牧の下水道

せっかくここまで調べたンですから、苫小牧の下水のことを少し勉強してみます。「苫小牧市下水道事業概要、平成30年度版(苫小牧市上下水道部下水道計画課、平成30年6月発行)から。

東西に広い苫小牧市には、3か所の下水処理センターがあります。そのうち西部地域の下水は「錦岡」と「糸井」の中継ポンプ場を経由して「西町下水処理センター」に集められています。

下水は管の勾配で自然に流す「自然流下方式」なので、管が地下深くなったら「中継ポンプ場」を設けて地表近くまでくみ上げて再び流す必要があるのです。

)出典:苫小牧市ホームページ

「下水」とひとくちに言っても、「汚水」はきれいにしてから海に流す、「雨水」は早く海に流す、という違いがあります。汚水と雨水を別に集める「分流式」になっている地域が大部分ですが、汚水も雨水も同じ管で排水する古い時代の「合流式」が市の中心部にまだ残っています。

苫小牧市の下水道普及率は99%を超える高水準で、下水道管の総延長は約1500キロメートル、直線で苫小牧から宮崎県までの距離になっています。昭和25年夏の集中豪雨による苫小牧大水害をきっかけに下水道整備が始まって66年、いまでも強い雨が降ると冠水する場所があります。市内各所で工事が進められ、古い管路や設備の改築・更新を推進しているようです。

ついでに、過去の空中写真から糸井中継ポンプ場の塔を探してみました。

)1981(昭和56)年10月27日撮影。丸印が糸井中継ポンプ場。塔の影が伸びている(出展:国土地理院 地図・空中写真閲覧サービス

周辺には宅地造成中らしい区画が見えています。まだ何もなかったところにポンプ場を作ったんですね。これより古い日付の空中写真には見当たりませんでした。

※ 冒頭の写真:塔の上空に飛行機雲(画像処理しています)

※ 特記のない写真はすべて、2018年11月5日、やぶ悟空撮影