見まちがい?

先日、紙面にこんな写真が掲載されました。私には飛行機雲のように見えますが、「火球とみられる」とのこと。ホントなの?
(冒頭の写真は、苫小牧民報(2018年12月3日)に掲載された写真)

先日、紙面にこんな写真が掲載されました。私には飛行機雲のように見えますが、「火球とみられる」とのこと。ホントなの? (写真は苫小牧民報、2018年12月3日)

宇宙からの落下物?

苫小牧民報(2018年12月3日)の記事によれば、市民に目撃されたのは前日の16時ごろ、場所は苫小牧市拓勇東町だそうです。車で同市桜木町に向かっていたそうなので、おおむね西の空に見えたのでしょう。

火球」って? 国立天文台のwebサイトには、流れ星(流星)の中でも特に明るいもののことを「火球」と呼びます…という記述があり、「日本全国でいえば、平均すると1ヶ月に数個程度の頻度で目撃されています」とのこと、頻度はそこそこ高いようです。

新聞紙面の写真なので鮮明ではありませんが、双発機のエンジン排気により水蒸気が氷結して2本の尾を引く飛行機雲のように、私には見えました(翼から発生する飛行機雲とは異なります)。正確な撮影時刻が記載されていませんが、この日16時前後に苫小牧付近上空を通過した航空機を調べてみたところ、該当する2機が見つかりました。

  • 1545分ごろ、ユナイテッド航空35便(ボーイング787、サンフランシスコ発関空行)、高度約4万フィート(約12,200メートル)
  • 1607分ごろ、デルタ航空185便(ボーイング777、アトランタ発上海行)、高度約3万8千フィート(約11,600メートル)

どちらも南西に向かって飛行していた双発機です。ほかにも新千歳空港から離陸した複数の飛行機がありましたが、いずれも離陸後間もないため高度があまり高くはなく、高高度の低温で飛行機雲ができるような条件を満たす状態ではなかったと思います。

  • 15時50分ごろ、エバー航空115便(エアバスA330、台北行)
  • 15時55分ごろ、スカイマーク174便(ボーイング737、神戸行)
  • 16時09分ごろ、チェジュ航空1901便(ボーイング737、ソウル行)
  • 16時13分ごろ、キャセイパシフィック航空581便(ボーイング777、香港行)

目撃された日の日没時刻は苫小牧で1602分ごろ、地表はかなり暗くなり始めていますが、上空の航空機にはまだ夕日が低い角度で当たっていて、機体下面で反射する光が眼に強く感じる時間帯です。

これらのことから、私見ですが、デルタ航空185便を火球や隕石と見まちがえた可能性が高いだろうと考えます。

20181221607分ごろのデルタ航空185便の位置と飛行航跡。苫小牧市から見て西方上空を南西に向けて飛行中。高度は38,000フィートflightradar24による

ちなみに、見える時間は「火球」だと「長くても5秒程度まで(まれに10秒程度)」と国立天文台。新聞記事には、「目撃」し「車を止めて(略)スマホのカメラで写真を撮影」とあることから、数秒程度では済まなかったでしょう。さらに、「光は最初、速いスピードで流れ落ちていったがだんだんスピードを落とし、消えていくように見えた」とのこと。短い飛行機雲を残しながら遠ざかっていく飛行機を地上から見ると、そのように捉える可能性もあるだろうと想像できますし、ずいぶん長い時間、見えていたようでもあります。

情報を提供された新聞記者さんは東京の国立天文台に問い合わせたようですが、飛行機の可能性に触れないまま「火球と見られる」とした明確な根拠はあるのかな?

富士山と飛行機雲

日没直後の飛行機雲を撮影した写真がありました。短いながらも7すじ見えます。

)2015年1月3日、埼玉県所沢市から見た富士山、やぶ悟空撮影(クリックで拡大)

このフレームの中に7機が飛んでいたようです。機体は小さくてほとんど見えませんケド…。