赤白ペイント塗りかえ

「赤白」とはいっても政府専用機の日の丸ではありません。苫小牧のランドマークの一つ、王子製紙苫小牧工場の200メートル煙突がきれいになったのです。建設以来、初の大改修が終わったようで、目立つ赤白の塗装がお目見えしました。

この煙突は1974年にできたものですから、44年も経っています。建設から25年が経過した1999年に最上部の30メートル部分だけが改修されたンだそうで、今回はその下の170メートル部分が改修の対象です。工事は今年2月に始まり、10か月後の12月まで。

3本の煙突を束ねて高さ200メートルもある1本のコンクリート集合煙突になっています。

)道新NEWSより。煙突の上から撮影したドローン映像だと束ねられた3本がよく分かります。(北海道新聞 写真部 野沢俊介 撮影、2018/08/07)

定点観測

ほぼ同じ位置から撮影した工事中の写真を並べてみました。

)最上部にワイヤーを垂らす固定リングが取り付けられました。作業は3分割で行うらしく、上3分の1にドーナッツ状の足場が2か所に設けられています。作業の進捗によって足場が上下に移動します。

)初夏に海霧が入ってくると、高いところはスッポリ霧の中。

)7月になると、作業用足場が中ほどまで下がってきました。補修には樹脂などが使われるようです。

)9月6日、胆振東部地震で苫小牧は震度5強。耐震補強のために炭素繊維シートを縦横に張ります。秋の空は高くクリア!

下の方にくると、足場ドーナツリングの穴が大きくなって、…(↓)

素肌はアップで見ないほうがおよろしいようで…

)工期の12月には綺麗に仕上がりました。

昼間障害標識

高さ200メートルの煙突には「昼間(ちゅうかん)障害標識」を設置しなければなりません。航空法では次のように定められています。

昼間において航空機からの視認が困難であると認められる煙突、鉄塔その他の国土交通省令で定める物件で地表又は水面から六十メートル以上の高さのものの設置者は、国土交通省令で定めるところにより、当該物件に昼間障害標識を設置しなければならない。(航空法第51条の2、第1項)

この標識というのは赤白のペイントのこと。「物件の最上部より黄赤と白の交互に帯状に塗色」することになっており、「帯の幅は210メートル以下の高さの物件はその7分の1」と決められています。(航空障害灯/昼間障害標識の設置等に関する解説・実施要領、平成30年3月、国土交通省航空局)

黄赤」というのはマンセル記号で「10R 5/14」、は同じく「N9.5」とされています。黄赤の「10R」は色相がオレンジに近い赤(R)の色合いで、「5」は明度(0:黒、10:白)14」は彩度(14が最大値)を表しています。の「N9.5」は無彩色(ニュートラルの「N」)で明度が「9.5」、明度10が理想の白なので9.5は塗料としては一番白い色で「職人さんの腕が試される色」とも言われるそうです。

7等分するなら黄赤の帯4本と白帯3本のはずですが、写真では9つの帯が見えますね。あれ? 前述の「…解説・実施要領」によれば、「省略」ができるのだそうです。

ビル等建物から距離45m以内にある物件の昼間障害標識は、当該建物の壁面による遮蔽部分、すなわち当該建物の母屋より低い部分の設置を一部省略することができます(遮蔽する建物は一方向でよい)。

絵で見ると分かりやすいですね。()こういうことです。(航空障害灯/昼間障害標識の設置等に関する解説・実施要領、平成30年3月、国土交通省航空局 の29ページより引用)

反対側の高い位置から見ると、建物より高い部分が確かに7等分されています。隣に建つ細い煙突とそれを支える鉄骨のように、建物より下の塗装を省略してもいいのですが、王子の200m煙突といえば、樽前山とともに昔から苫小牧のシンボルともいえる代表的な建造物です。見映えも考慮しなくてはなりませんから、上から連続して下まで塗ったほうが良いという判断だろうと思います。(樽前山を背景に市役所展望フロアから、2018年12月10日、やぶ悟空撮影)

「航空障害灯」についてはここでは説明を省きましたが、航空法に則って従前どおりピカピカと光っています。

閉まらない踏切ミラーに写る200メートル煙突、2018年11月20日撮影

※ 冒頭の写真は、千歳基地祭2日前に補修工事中の煙突をかすめて飛行するボーイング747-400政府専用機、2018年7月20日、やぶ悟空撮影