ベンツ・ウニモグ

コチラからの続き…

最後に紹介するのがウニモグ。ドイツ製で、それもベンツ。たぶん高価なのでしょうが、それに見合った特殊な性能を持っているようです。

ウニモグ」という自動車の存在を知ったのは、オフロード4駆に強い興味を持っていた若いころ。こだわりを持って開発されたと想像できる外観と、門型アクスルのリダクションギヤに強いインパクトを受けたものです。見るからに走破性、高そう!

この411型ウニモグの鼻先には油圧シリンダーがぶら下がっていることから、排土板が付いていたのだろうと思います。多種多様なアタッチメントが用意されている多目的作業用車両なのです。

▲車軸のイメージ図

左は、トラックやオフロード車などに多い車軸で、リジットアクスルです。1本の車軸に左右の車輪が付く、シンプルな構造で頑丈です。最低地上高はデフ(differential gear)部で、これを大きくするには車輪の直径を大きくする必要があります。

右は、最低地上高を大きくするためにハブリダクションを用いたもの。黄色の部分にギヤを組み込みます。この見た目から「門型」などと言われ、床下クリアランスが大きく広がります。

▲後輪の車軸(上:右後方から見た車軸、下:後方から見た右車輪)

先に、シンプルな後ろ側から見てみます。車輪の中心より上に車軸があるのが分かります。前後ともデフロック付きのデフはデカいけど、リダクションギヤって意外と小さいンですね。

▲前輪の車軸(上:左前方から見た車軸、下:左前方から見た右車輪)

前輪にはステアリング機構が付きますが、ハブリダクションのしくみは同じです。ゴッツイけど、コイルスプリングで柔軟なサスペンション。

リダクション(reduction)とは「減少、削減」の意味で、リダクションギヤは「減速ギヤ」ですから、ハブリダクションは減速方式のことです。悪路を大きなトルクでゆっくり進むにはエンジン回転数をギヤで大きく減速して車輪に伝えることが大事です。最低地上高の拡大と併せて、この門型アクスルが採用されたのでしょう。

リダクションギヤを分解した写真は、コチラで見ることができます。

▲エンブレム

正面中央に付けられたスリー・ポインテッド・スター。腐ってもベンツ。

▲運転席

幌はボロボロ。右ドアそばのボディにこんなエンブレムが…

ドイツ語なので読めませんが、「UNIVERSAL-MOTORGERÄT」(多目的動力装置)と書かれています。この頭文字をとって“UNIMOG”という名前になったそうです(1946年)。その左に、畑作業中らしい牛2頭と人の絵があります。農業用車両として開発された所以でしょうか。

▲32馬力のディーゼルエンジン

2人乗りの、中央に配置されています。

▲川でも渡れるスノーケル

車高だけ高くしても、吸排気から水が入ったらディーゼルエンジンはおしまいですから。

▲定期点検ステッカー

はっきりは見えませんが「61」と読めそうです。次回検査は昭和61(1986)年9月、もう30年以上過ぎてます。このころまで使われていたのでしょう。

ウニモグとして世に出たのが1946年、ダイムラー・ベンツが生産を引き継いだのが1951年、411シリーズに生まれ変わったのが1956年ということですワイ・エンジニアリング株式会社

北大がこのウニモグを導入したのは、たぶん1960年代でしょう。そうすると20年以上は使われたことになりますが、ウニモグにとってはたかが20数年、適切な整備をすればまだまだ元気だったはず。ここまで痛んでしまってから息を吹き返すのは、大変そうです。

▲出典:ワイ・エンジニアリング株式会社「ウニモグ(高機動型)

隣には、ウニモグが引くトレーラーが並んでいます。

▲トレーラーのコネクタ

公的機関で(つまり、購入費や維持費の心配は二の次で)特殊作業車両として使われることが多いウニモグですが、中には自家用として所有するオーナーもいるようです。うらやましい限り。でも、この性能を発揮できるフィールドを併せて所有していないと、モッタイナイかも。

▲トレーラーに描かれた「北海道大學演習林」の文字

※ 特記のない写真はすべて、2019年5月、やぶ悟空撮影

コメント

  1. アバター AMIGO より:

    よく色々な物見つけてきますネ。
    たいしたものです!! 分析もしばらしい!!

    • やぶ悟空 やぶ悟空 より:

      若いころ、あこがれてたんです。スポーツカーもいいけど、オフロード車に。