神戸GS更新

神戸を発つ便の窓から、滑走路脇に2本のGSアンテナが見えました。更新工事中なのかな?(神戸空港の滑走路09に入る離陸機から)

無線設備の更新

GS」というのは「グライドスロープ」のこと。計器着陸装置(ILS)を構成する装置の一部で、着陸する航空機に適正な進入角からのずれを知らせる電波を発射します。神戸空港のILSは滑走路09への着陸用で、反対側の滑走路27にはありません。

▲ 新旧が並ぶ 神戸空港の GST-DME

T-DME」はターミナル用のDME(距離測定装置)です。DMEGS と併設することにより、進入する航空機は着陸地点までの正確な距離を連続的に知ることができます。

  • DME : Distance Measuring Equipment、距離測定装置
  • GS : Glide Slope、グライドスロープ
  • ILS : Instrument Landing System、計器着陸装置
  • T-DME : Terminal DME、ターミナル距離測定装置

▲ 神戸空港の仮設VOR/DME

ボーイング737-800が滑走路を離れたとき、誘導路P5脇に「仮設VOR/DME」が見えました。…ということは、神戸VOR/DMEGSと同じタイミングで更新工事なんですね。

  • VHF : Very High Frequency、超短波
  • VOR : VHF Omni-directional Radio Range、超短波全方向式無線標識

▲ 神戸VOR/DME(2019年4月撮影)

これが、滑走路のアチラ側にある神戸VOR/DME(KCE)です。この無線機器やアンテナ、電源設備などをすべて新しくするためには、数か月間にわたり完全にシャットダウンさせる必要があります。その間の運用を確保するため、仮設VOR/DMEを設置したのでしょう。

工事の情報

大阪航空局の契約情報をネットで調べてみると…

神戸空港GS/T-DME装置設置その他工事」と

神戸仮設VOR/DME装置設置工事」の入札結果が載っていました。いずれも今年4月に開札されています。そのほかに今後の発注予定として、

神戸VOR/DME装置更新その他工事仮設VOR/DME撤去も含む)

神戸空港LOC装置更新その他工事(旧GS/T-DME仮設LOCの撤去も含む)

などの工事が年末までには公告される見込みとなっていました。

  • LOC : Localizer、ローカライザー

つまり、神戸VOR/DMEと神戸空港のILSLOCGS および T-DME)が更新されるということのようです。神戸空港は2006年2月に開港しましたから、無線設備も約13年半以上運用しています。航空保安無線施設は通常なら15年間の運用を想定して設計するので、まもなく更新時期になりますね。設計寿命を越えて使い続けると故障が多くなり航空機の運航に影響を及ぼしかねないので、日本中の無線設備は計画的に新しくされているのです。

さくら印のスカイマーク機は、ほぼ定時運航で日本海沿岸を北上していきました。

新千歳に着陸

▲ 新旧が並ぶ 新千歳01Lの GS

新千歳空港に着陸すると、滑走路01L用のGSアンテナが2本立っているのが見えました。あれっ、ここでもGS更新工事を行ってるンだ。

平成30年度の東京航空局入札結果には、「新千歳空港01L-ILS更新その他工事」が載っていました。ILS更新ってことは、写真の GST-DME だけでなく、LOC も含めて1件の契約になっているのでしょう。神戸GSに比べて落札金額が大幅に高いのは、そのせいですね。

GSとGP

冒頭で説明したように GS は Glide Slope(グライドスロープ)のことなのですが、GP(Glide Path、グライドパス)という言い方もあります。現に、航空局発行の AIPでは、神戸空港の飛行場図に「GS」、新千歳空港の飛行場図には「GP」と書かれています。

  • AIP : Aeronautical Information Publication、航空路誌

航空略語のバイブルとして愛用している ICAO Abbreviations and Codes (Doc 8400) には「GP : Glide path」が載っていますが、「GS」には “Glide slope” の意味はなく “Ground speed” となっています。確かに「GS」といえば「対地速度」として使うことが多かった気がします。国際的な略語は「GP」なのか。

  • GS : Ground Speed、対地速度
  • ICAO : International Civil Aviation Organization、国際民間航空機関

一方、わが国の航空法施行規則には、「グライドスロープ」と「グライドパス」の両方が出てきます(ただし、GSGP の略語は使われません)。「グライドスロープ」という言葉は必ず「グライドスロープ装置」として使われています。そして「グライドパス」は「グライドスロープ装置」が発射する電波の適正な進入角を示す直線のことを言っています。この規則においては明確に使い分けているようです。

今回は「装置」の更新に関する話題なので「GS」を使ってみました。一般には GS でも GP でも目くじらを立てることはなく、しっくりくる方を使えばいいでしょう。でも、公の出版物であるAIPの記述は、きっちり統一してほしいと思います。

※ 写真はすべて、やぶ悟空撮影

コメント

  1. アバター AMIGO より:

    興味深く読ませていただきました。ところでこの様な装置の想定される故障とは
    どの様な原因と不具合が発生想定されるのでしょうか。

    • やぶ悟空 やぶ悟空 より:

      機器の故障や不具合の発生原因は多種多様で一概に言うことは難しいですね。細かい電子部品の経年劣化やコネクター部の接触不良など、さまざまです。真空管VORの20年後は、配線が硬化してボロボロに千切れたりもしました。