今日から3月、でも急速に発達する2つの低気圧の影響で、道内の空の交通は大幅に乱れています。昔も今も北海道の空港の代表格といえば新千歳空港ですね。今回はココに注目します!
呼び名
ふだんの会話では「新千歳空港」って、あまり言わないような気がしています。自分自身も「新」を省いて「千歳空港」と言うことが多いです。おおらかな道民からは、同じようなモンだから別にいいじゃない、間違うこともないし…という声が聞こえそうです。おっしゃる通りですね。
「新千歳空港」が1988年(昭和63年)に供用開始されるまでは、自衛隊機と民間航空機が同じ滑走路を共用する千歳飛行場が「千歳空港」と呼ばれていました。それから30年経過しましたが、今でも頭に「新」の文字が付いた「新千歳空港」が正式な名称です。でも、いつまでも「新」って言うのも不自然な気がする私です。
個人的なことですが、eAIP(電子航空路誌)で新千歳空港の情報を見ようとするとき、アルファベット順に並んでいるリストから、つい千歳の「C」を探してしまいます。「C」で現れるのは「Chitose」千歳、「Chofu」調布、「Chubu Centrair INTL」中部国際だけ。「Chitose」というのは航空自衛隊千歳基地の「千歳飛行場:RJCJ」のことです。
「新…」だから「New Chitose」の「N」なのか、と下の方を見ていくと、「N」の並びの中に「Sapporo/New Chitose」が挟まっています。「N」なのに、ここでは「Sapporo…」ですか。何だか分かりにくいなぁ。
場所
名前に「千歳」と入っていますから、場所は千歳市と思うのが普通でしょうね。航空局の資料でも「位置:北海道千歳市」となっていますし。でも、滑走路2本の南側3分の1以上は「苫小牧市」なのです。地理院地図をご覧ください。
空港ターミナルや管制塔などの主要施設はすべて千歳市側にあります。ターミナルの西側が航空自衛隊千歳基地で2本の滑走路があり、東側に民間機が使用する滑走路2本(A滑走路とB滑走路、ともに3000m×60m)を持つ新千歳空港があります。主に離陸用として使われるA滑走路の南端約1,100mと、同じく着陸用のB滑走路の南端約1,200mの部分が苫小牧市です。
このように新千歳空港は千歳市と苫小牧市にまたがっていますが、苫小牧市側には、滑走路や進入灯以外には民間駐車場やレンタカー会社ぐらいしかなく、認知度はかなり低いようです。苫小牧市はアピールがもっと必要でしょう。
いま工事中
「過去最多2271万人 2017年新千歳空港乗降客」
こんな記事が出ていました。特に目立つのは、近年の外国人旅行客(インバウンド)の増加です。それに対応すべく国際線の増強策が図られつつあり、いま新千歳空港では大きな工事が進められています。
その主要なものとして、
- 国際線旅客ターミナルビルの増設
- 国際線エプロンの増設
- 南側誘導路の新設
などがあり、特に私が注目しているのは「南側誘導路」です。
新千歳空港は、民間機用の平行滑走路2本と旅客ターミナルの位置関係から、駐機スポットと滑走路間の誘導路上で航空機の動線が重なり、流れが滞りやすい構造だと私は考えています。この南側誘導路ができると、風向きにもよりますが国際線の大部分をこちらに誘導でき、混雑する国内線スポット付近を通過せずに済むと考えられます。冬期間は、除雪作業時の混雑緩和などにも有効でしょう。
この南側誘導路付近が千歳市の南端にあたっており、その北側に、写真でお気付きかもしれませんが、現在の国内線と同じ半円形のスポットとターミナルビルを造ることができるスペースがあります。そう長くない先に、ここに国内線第2ターミナルビルが必要になるだろうと思います。
そのころには滑走路が南の苫小牧市側に延長され、さらに先の未来には、新ターミナルビルや新エプロンが苫小牧市側にも必要になる日が来ることを夢見ています。空港南側の敷地には十分な余裕が残されていますしね。
でも、千歳市とか苫小牧市とか、小さなことにこだわるのではなく、北海道を代表する安全で便利な拠点空港として育てていく必要があります。いま、それに相応しい新たな名称(や愛称)を検討する時期に来ているのではないでしょうか。
(略語)
- eAIP : Electronic Aeronautical Information Publication(電子航空路誌)
(参考にした資料)
- 新千歳空港南側誘導路新設工事に伴う構内道路の車線切替えについて(国土交通省プレスリリース、平成30年1月16日)
- 新千歳空港国際線旅客ターミナルビル施設再整備について(新千歳空港ターミナルビルディング株式会社ニュースリリース、平成29年11月17日)
- 新千歳空港国際線ターミナル地域再編事業(苫小牧市ホームページより)
- 新千歳空港南側誘導路の整備効果 -増え続ける国際線需要に対応した施設- (国土交通省北海道開発局港湾空港部空港課、平成28年度)
- ほか
コメント
なるほど。勉強になります。
TSさま
コメントありがとうございました。気付くのが遅くなって失礼しました。懲りずにご愛読くださいね。
昔から、増設用に南側に用地があったのでこちら側に国際線ターミナルを作ると思っていたら、2空団側にできていたのでびっくりしたのを覚えています。諸外国では軍事(こう言っていいのかわかりませんが)空港側に国際線が発着するターミナルは作らないと思うので非常に不思議です。こっちのほうが滑走路に近いのに、なんか不合理ですね。
YOさん、コメントありがとうございます。
国際線~国内線の接続を考慮して近くに造ったのでしょうか?南側の用地だと歩くには遠く、移動交通手段を設ける必要がありそうです。そのための予算の都合かも。
空自の千歳飛行場は今でも共用飛行場のままなので民間機が離着陸することもあり、特に問題視しなかったのかもしれません。でも、国際線ターミナル北側のガラス越しに基地側を撮影できないよう、曇りが入っているのを見たことがあります。