気象庁のレーダーで札幌にいちばん近い「毛無山気象レーダー観測所」は、小樽市にあります。小樽から国道393号線の急坂を登ってつづら折りが終わったころ、正面の山上にNTTドコモの鉄塔と並んで丸いレドーム(レーダーアンテナの覆い)が載った細長い建物が見えてきました。
さらに進むと右手に駐車スペースがあり、そこが登り口(標高約580m)です。舗装路ですがゲートが閉まっているので徒歩でレーダーサイトを目指します。標高差約120m、距離約1kmなので大して時間はかかりません。
坂を登りきるころ、正面に球形のレドームが見えてきました。
建物には「札幌管区気象台 毛無山気象レーダー観測所」のプレートがありました。ここだっ!
ずいぶん背が高いゾ!
山の上なのにこの高さ? 気象庁webサイトの情報では、
- アンテナの海抜高度:749.0 m
- 地上からの高さ:49.0 m
となっています。つまり、標高700メートルの山上というだけでは高さが足りず、アンテナを49メートル高く上げたことになります。アンテナを高くすると送受信機とつなぐ導波管(5GHz帯という高周波なのでケーブルは使わない)が長くなり、減衰が大きくなるので本当は避けたいはずです。建築費用だってかさむし…。
地図を見てその理由が分かりました(推測ですが…)。標高700メートルのレーダーサイト南西側に標高750メートル以上(ピークは762メートル)の山があります。この山の影になる南西方向が気象レーダーに映らなくなってしまうことを避けるため、アンテナを高くしたのでしょう。
それなら高い方の山に設置すればいいのに…と思うかもしれませんが、新たな道路造成や環境問題、積雪期アクセスの容易性など、考慮すべき点が多いことが容易に想像できます。すぐ隣りにNTTドコモの鉄塔や小樽建設管理部の無線中継局などがある現在の位置で、アンテナを高く上げる手法に落ち着いたのでしょう。
ちなみに、地上高49メートルというのは、全国に20基ある気象庁の気象レーダーのうち、高い順に4番目です。(60.3m → 55.0m → 49.8m → 49.0m →…)
帰路、暖かい舗装路面でひなたぼっこしていた長い御方を見つけました。
駐車場まで戻ると、片隅に百葉箱があることに気付きました。
積雪深も測ってるの?
現在気温24.8℃、シンワ測定(株)のデジタル温度計が入っていました。
気象庁の?じゃないよね。
この夏、好天の一日のドライブと散歩でした。次は、昆布森気象レーダーを紹介する予定です。
※ 写真はいずれも、2018年8月2日、やぶ悟空撮影
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※ 2020年10月に「乙部岳」を追加しました。
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