コチラからの続き…
新千歳空港を離れたシルバースピットファイアは花巻空港で台風をやり過ごし、そのまま50時間整備に入るようです。世界一周ともなると、突発的な機体の不具合への対応はもちろんのこと、定期点検整備の時期と場所も事前によく考慮しておかなければなりませんね。はじめから花巻空港が選択肢に入っていたとは思えませんが、予定の龍ヶ崎行きをダイバートした花巻で、整備日程や作業スペースなどの調整がうまく整ったのでしょう。
本場のスピットファイアたち
そういえば昔、イギリスでスピットファイアを見たことがあったなぁ…と思い出し、古いHDDにある写真を探してみたところ、13年以上前の2006年3月のフォルダに数枚ですが残っていました。冒頭の写真は、英国空軍博物館(ロンドン)のスピットファイア(左手前)とハリケーン(右奥)です。
英国空軍博物館(Royal Air Force Museum)は、英国内のコスフォード(Cosford)とロンドン(London)の2か所にありますが、当時わたしが訪れたのはロンドンの展示場です。ハリーポッターで有名なキングスクロス駅付近から向かうと、地下鉄で30分もかからずに最寄り駅のコリンデイル(Colindale)です。そこで降りて徒歩15分ほどで博物館に到着しました。
▲ スピットファイア(英国空軍博物館 – ロンドン)
ピッカピカ! プロペラ4枚。
▲ スピットファイア Mk 24(英国空軍博物館 – ロンドン)
これも後ろから。PK724は5枚プロペラ。
▲ スピットファイア Mk I(英国空軍博物館 – ロンドン)
・単座戦闘機 ・1941-45
「スピットファイアは、歴史上最も有名な英国の戦闘機です。バトル・オブ・ブリテンにおいてドイツによる空襲に打ち勝つ助けとなり、1940年夏の間、自由のシンボルになったのです。」(やぶ悟空訳、以下内容が詳細過ぎるので省略)
RAFミュージアムは、めったに見ることのできない軍用機の展示が充実した博物館で、中には日本のゼロ戦も並んでいました。出張の空き時間の半日程度ではまったく時間が足りませんでしたので、これから訪れる方はたっぷり時間の余裕を確保しておくことをお勧めします。たしか入場無料でした。
▲ スピットファイア(帝国戦争博物館:ダックスフォード)
こちらも同じく英国ですが、ケンブリッジの南にあるダックスフォード(Duxford)の帝国戦争博物館(IWM : Imperial War Museum)で見たスピットファイアです。パイロットから見て左回りの5枚プロペラから、ロールス・ロイスのグリフォンエンジンにパワーアップされた Mk 14 以降のモデルのようです。シルバースピットファイアは、プロペラがパイロットから見て右回りの4枚、ロールス・ロイスのマーリンエンジンを搭載した Mk 9 でした。
ダックスフォードのIWMは、専用の滑走路がある広大な敷地に複数のハンガーを持っている博物館です。あちこちの建物内では、展示品として磨きあげるだけでなく古い機体を整備する人たちの姿が見受けられます。実際に飛行できる機体に仕上げようとしており、現に飛べるクラシック機体も数多くあるのです。これらの展示物を思う存分じっくり見ようとしたら、私なら1週間あっても足りないでしょう。入場料は決して安くはありませんでしたが、英国で訪れたい場所を1か所だけ挙げるとしたら、迷わず “Duxford” です。
頑固ジジイたち
日本にゼロ戦の技術を賞賛する人々がいるように、イギリスではスピットファイアがそれに当たるのでしょう。空冷星型エンジンと液冷V型エンジンの違いで自ずとスタイルに差が出るのはやむを得ませんが、スピットファイアは流線型の美しい戦闘機でした。何より驚いたのは、見るからに今すぐにでも飛べそうな「生きている」と感じられる機体があったことです。オイルで汚れた手でそんな機体を整備しているマニアックな英国の頑固ジジイたちの心意気がすばらしい!と思ったものです。
そんなスピットファイアのうちの1機、シルバースピットファイア、G-IRTY(Great Britain の”G“が英国の国籍記号)が世界を廻って自国に戻る今年12月、英国はそんな頑固ジジイたちが選択した(と思われる)EU離脱を成し遂げているのでしょうか?
※ 写真はすべて、2006年3月、やぶ悟空撮影
<参考> 航空ファン(2019.11)に Silver Spitfire の記事や写真に加え、興味深いインタビューも掲載されています。
コメント
イギリスの博物館充実してますね。行ってみたいです。
またゆっくり見たいンですが、片道12時間のフライトを思うと二の足を踏んでしまいます。