「カムイサウルス」参上

むかわ竜を見てきました。国立科学博物館の「恐竜博2019」でも人気を博したという全身復元模型が、故郷のむかわ町穂別地区で 12月の6日間だけ特別公開されたのです。(公開はすでに終了しました)

神のトカゲ、穂別から

▲ カムイサウルスの全身復元模型(レプリカ)

ことし2019年、通称「むかわ竜」は 正式な学名「カムイサウルス・ジャポニクス」(Kamuysaurus japonicus)と名付けられました。アイヌ語の「カムイ(神)」って北海道っぽくてイイ感じ 日本産の恐竜全身骨格として最大のものであり、体長8メートルで12歳以降に死亡したと推定され、体積で約8割という多くの骨化石が発掘されたそうです。そのうえ、新種の恐竜であることも分かったとのこと。

▲ カムイサウルスの頭部(レプリカ)

恐竜の化石…って、ちょっとワクワクします。そんな大きな生物が、実際ここで生きていたっていう現物そのものですもんね。とは言っても、恐竜が大好きで以前から興味を持っていた…というわけではありません。いままで「首長竜」は「恐竜」じゃない…ってことも私は知りませんでした。「恐竜」というのは、直立歩行する爬虫類なのだそうです。「首長竜」は水生爬虫類で直立歩行はできませんから。ほかに「魚竜」や「翼竜」という分け方もあるらしいです。翼竜の化石なんてのが出てきたら、うれしいけどなぁ。

▲ 直立歩行のカムイサウルスは前足が細く、きゃしゃ(レプリカ)

カムイサウルスの化石の一部が最初に発見されたのは20034月のこと。それから7年もの間、博物館の収蔵庫で眠ることになったのは、「首長竜」のシッポだろうと考えられていたからです。まさか「恐竜」とは思わなかったので、化石クリーニングが後まわしにされたんですね。首長竜はすでに穂別町から発掘されていました(ホベツアラキリュウ)から、特段めずらしくはない…って感覚なンでしょうか。

▲ 背骨の上に伸びる突起が大きく前に傾いていることがカムイサウルスの特徴のひとつ(レプリカ)

恐竜の化石であることが分かって以降、2013年から2016年にかけて数回の発掘調査が行われ、このように骨格が再現できるほど多くの骨化石が産出されて、世紀の大発見として話題になっていったのです。

カムイサウルスは草食恐竜で陸の生物ですが、どういういきさつなのか 水深80~200メートルという深い海の底に眠っていたそうです。博物館に置いてあった絵本「きょうりゅうのサン ―いまぼくはここにいる―=アリス館(東京都)出版= の中では、主人公の恐竜「サン」がティラノサウルスに追い掛けられて海の中で命を落とし、7千200万年を経て化石になって発見された、というオハナシになっていました。深い海が幸いして全身骨格が残ったんですね。

▲ カムイサウルス・ジャポニクス(レプリカ)

穂別博物館にも

今回の特別展示は 穂別町民センターの2階で行われ、むかわ町民以外は観覧券(大人300円)が必要でした。その券で 穂別博物館に入館できるので、あわせて見学してきました。

▲ カムイサウルスの頭部(別のレプリカ、穂別博物館)

博物館内にも別のレプリカ(一部)が展示されていました。顔つきが微妙に違っているような気もします。

▲ カムイサウルスの産出部位(穂別博物館)

このようにずいぶん多くの骨が発見されましたが、見つからなかった部位もあるようです。頭部の骨がそろうと、鼻筋の通ったイケメン・イケジョだったと確定できたのでしょうが…。

名前に異議アリ?

さて、通称名を「むかわ竜」としたことについては、その通称名の使用中止を求めたり「むかわ穂別竜」への名称変更を求めるなど、一部不満を持つ人々もいたようです。2018年にはそんな報道を幾度か見聞きしました。

むかわ町」は、2006年3月に「鵡川町」と「穂別町」が合併してできた町です。カムイサウルスが発見された場所は、アンモナイトや首長竜の化石などが多数発見されている現在のむかわ町穂別地区です。しかも、カムイサウルスの最初の発見は合併前の2003年でしたから、その時点では「穂別町」だったのです。旧穂別町出身者にしてみれば、合併して「むかわ町」になったとはいえ、恐竜の名前に「穂別」が入っていないことに納得できないものを感じていたのではないでしょうか?

正式に「カムイサウルス・ジャポニクス」と命名されてから、通称名「むかわ竜」の問題は聞こえてこない気がします。「むかわ」とか「穂別」とか些細なことに目くじらを立てることが恥ずかしくなるような地球規模の大発見と理解されてきたことや、「カムイサウルス・ジャポニクス」という壮大な名付けのすばらしさによる効果ではないかと勝手に想像しています。

▲ むかわ竜のたいやき

帰り道に立ち寄ったのは、このたいやき屋さん。昨年9月の胆振東部地震で大きな被害を受けましたが、いま仮設店舗で営業しています。カムイサウルスの骨格に肉付けしたらこんな感じかナ? 見た目がかわいいだけでなく、味がとてもおいしくて気に入りました。定番の あんこクリームだけじゃなく、チキンマヨ(チキンナゲット+マヨネーズ)もあります。まるで自分が肉食恐竜ティラノサウルスになって カムイサウルスにかぶりついた気分でした。

お店の宣伝をしておきます。1個160円。

※ 冒頭の写真は、最初に発見された尾椎骨(尻尾の中間から後ろ)付近(レプリカ)

※ 写真はすべて、2019年12月、やぶ悟空撮影