空港の民営化、北海道でも

空港の民営化が進んでいます。所有権を残したまま、滑走路や空港ビルの運営を民間に委ねるというもの。北海道内の対象7空港も、民営化がすぐそこまで迫っています。

道内7空港

民間委託される道内7空港というのは、どこなんでしょう?

▲ 北海道の空港(航空局資料を参考に地理院地図に加筆)

北海道にある空港を示す図です。民営化される赤色7つのうち、が管理する4空港がこれら。< >は民営化される時期です。

  • 新千歳 <2020.6.1>
  • 稚内 <2021.3.1>
  • 釧路 <2021.3.1>
  • 函館 <2021.3.1>

(運営権実施契約書に記載された順)

北海道が管理する空港(地方管理空港)からはつだけ入りました。

  • 女満別 <2021.3.1>

そして、が管理する空港(特定地方管理空港:国が設置し地方自治体が管理)がこれらつです。

  • 旭川 <2020.10.1>
  • 帯広 <2021.3.1>

北海道の場合は、管理者の異なるこれら7空港を一括して運営委託するのです。民間事業者としては、ドル箱の新千歳空港だけなら喉から手が出るほど欲しいのでしょうが、抱き合わせの他6空港については少々頭が痛いかもしれません。

一括運営委託

「滑走路やターミナル等、空港本体は(略)所有し続けます。そのうえで空港を運営する権利を民間事業者に付与し、その対価(略)を払っていただきながら、空港運営を行っていただく」という分かりやすい説明が、神戸市のウェブサイトにありました。

公募型プロポーザル方式で選定したという道内7空港の一括運営委託、その一次審査に参加したのは以下の4社でした。

  • A. Sky Seven(代表企業:東京建物)
  • B. 北海道エアポートグループ(同:北海道空港)
  • C. ORIX・VINCI Airportsコンソーシアム(同:オリックス)
  • D. Hokkaido Airports International(同:Changi Airports International)

(出典:北海道内 国管理4空港 特定運営事業等 優先交渉権者選定結果、2019.8.9、航空局)

そのうち、一次審査で選定された A, B, C の3者が二次審査へ進みました。しかし Cからは提案がなく、AB の2者で審査された結果が発表(2019.7.3)されました。優先交渉権を得たのは

  • 北海道エアポートグループ(代表企業:北海道空港株式会社)

でした。北海道空港(HKK)は長年に渡って新千歳空港ターミナルビルを運営してきた会社(北海道と千歳市が筆頭株主で、苫小牧市、札幌市、室蘭市も出資)です。HKKは、道内7空港一括民営化への応募にあたって「新千歳空港ターミナルビルディング株式会社」を設立(2017.4)し、会社分割してターミナルビルなどの運営事業を承継(2017.7)させました。

HKKを代表とする北海道エアポートグループには、北洋銀行、北海道銀行、北海道電力などの道内企業が名を連ね、JALやANAの航空会社も加わっています。一部報道では「地元企業びいき」とか「出来レース」などという記事も見受けられます。

その後、北海道エアポートグループと基本協定書が締結(2019.8.9)され、同グループからの提案概要が公表されました(この内容については別途記事にする予定)。そして特別目的会社「北海道エアポート株式会社」が設立(2019.8.23)され、同社と30年間の運営権実施契約が締結(2019.10.31)されたのです。

道外の民営化空港

北海道以外に目を移すと、すでに民営化されている空港が意外にも多いようです。これらの空港では「 」に示した民間事業者が運営を行っています。

  • 2015.1 但馬空港、「但馬空港ターミナルビル株式会社」
  • 2016.4 関西・伊丹空港、「新関西国際空港株式会社」⇒「関西エアポート株式会社」
  • 2016.7 仙台空港、「仙台国際空港株式会社」
  • 2018.4 神戸空港、「関西エアポート神戸株式会社」(関西3空港一体運営)
  • 2018.4 高松空港、「高松空港株式会社」
  • 2018.7 鳥取空港、「鳥取空港ビル株式会社」
  • 2019.4 福岡空港、「福岡国際空港株式会社」

今年2020年には、

  • 2020.4 熊本空港、「熊本国際空港株式会社」

が予定され、今回取り上げた道内7空港の「北海道エアポート株式会社」による一括運営も順次始まります。

そして、来年2021年4月開始予定の広島空港も選定手続きが進められており、静岡空港、南紀白浜空港においても準備中ということです。

民営化から外れた道内空港

道内13空港と表現されることがありますが、7空港が一括民間委託されると、残るのは以下の6空港です。

北海道が管理する空港(地方管理空港)

  • 中標津
  • 紋別
  • 奥尻
  • 利尻
  • 礼文(供用休止中)

共用空港(自衛隊等が設置し管理する飛行場)

  • 丘珠
  • (空自の千歳飛行場も共用空港ですが、共用部は新千歳空港と考えます)

一括運営から外れたこれらの地方空港は、収支を考えると引き続き厳しい運営が続くことになりますが、日本一面積が広く(国土の約22%)日本一人口密度が低い(東京都の約100分の1)北海道という特殊性を考えると、単純に採算だけで論ずるわけにはいきません。空路だけでなく、海路、鉄路、道路を含めた公共交通機関としての総合的な交通ネットワークの検討と、それに基づく整備・維持が必要でしょう。あまりにも大きな課題なので、ここではこれ以上の深堀は避けることにします。

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さて、道内7空港の一括民営化で、その中核となる新千歳空港は今後どう変わっていくのか、次回に考えてみようと思います。

※ 冒頭の写真は、2013年5月21日 新千歳空港で、やぶ悟空撮影