どう変わる、新千歳空港

2020年、新千歳空港をかわきりに道内7空港の一括運営民営化が順次始まろうとしています。そのリーディング・ゲートウェイと位置づけられる新千歳空港は、これからどのように進化していくのでしょうか?

国際線ターミナル地域再編

新千歳空港のハナシ」でも一部紹介した、ことし2020年3月の完成を目指すこの事業は、私も折々に通りがかっては見ており、順調に進んでいるようです。

▲ 新千歳空港の国際エリア整備(Googleマップ)

「南側誘導路の新設」と、それに伴う「道路のアンダーパス化」

南側誘導路」は、Googleマップでは一部がまだ未舗装ですが、実際にはすでに航空機が走行できるまでになっています。ことし3月26日からの供用開始に向けて灯火などの工事が残っているそうですが、条件付きで1月24日から暫定使用するという報道がありました。

▲ 南側誘導路のアンダーパス(2019.12.19撮影)

その「南側誘導路」の下を通るアンダーパスは、2019年11月から4車線で走行できるようになっています。

▲ 北側誘導路とアンダーパス(2020.1.13撮影)

こちらは以前から使われている北側誘導路。A330が滑走路に向かいます。

国際線エプロン拡張

▲ 拡張された国際線エプロンのいちばん南、スポット71に入ったA330(2020.1.13撮影)

このとき警備のおじさんから「こちら側にはレンズを向けないで」と言われました。国際線ターミナルと管制塔との間から飛行機を撮影したのですが、西側は航空自衛隊千歳基地なので気にしているンですね。小さなコンパクトカメラなので、それ以上とがめられることはありませんでした。

国際線旅客ターミナルビル機能向上

▲ 国際線旅客ターミナルビル(2020.1.13撮影)

拡張された国際線エプロンと、増築された国際線旅客エリアは、昨年2019年8月30日から供用されています。これまでの国際ターミナルから南に300メートルほど歩くことになりますが、広々していて休憩スペースも多く快適でした。春節の時期などには賑うことでしょう。

GSE置場新設

▲ 国際線ターミナルビル北側(2020.1.13撮影)

北側の窓から「GSE置場」方向を見ようとすると、斜め方向がこんな風に曇ります。まっすぐ窓を見ると透明なのですが、航空自衛隊基地のある斜め方向はシャープに見ることができないように工夫した特殊な窓のようです。ご苦労さま。

いずれの工事も順調で、着々と「再編」が進んだようです。国際線ターミナルビルに併設された「PORTOM International Hokkaido」ホテルも、この1月オープン予定です。

誘導路の複線化

北海道開発局は誘導路の複線化も進めています。その場所はどこでしょう?

▲ 誘導路の複線化(北海道開発局、2018年10月4日プレスリリース)

赤色で示した「平行誘導路複線化」は 2018~2025年度で、青色の「末端取付誘導路複線化(北側・南側)」は 2018~2022年度で行われる計画です。

なぜこうするのかというと、除雪車両と航空機がお互い走行の邪魔にならないような通り道を作って流れをスムーズにするということです。プレスリリースの資料で分かりやすく説明されていました。

北海道エアポートの提案

▲ 30年後の配置案(北海道エアポートグループの提案概要より)

航空局は、2019年8月9日、道内7空港の一括運営委託の選定結果(「北海道エアポートグループ」が最高得点)と、同グループの提案概要を公表しました。その提案概要から、新千歳空港に関わる部分を見てみます。

内際共用新ターミナル(T3)

いちばん気になったのが「内際共用旅客ビル(T3)新設」です。つまり、国内線と国際線で供用する第3旅客ターミナルビルTerminal-3)を整備する計画です。

T3に直結するホテルも新設され、現在の国内線ターミナル(T1)や国際線ターミナル(T2)と、T3エリアおよび付近の駐車場などとを結ぶ交通機関として、BRTバス高速輸送システム)の名が上がっています。

▲ 第3ターミナル案(北海道エアポートグループの提案概要より)

現在使われている半円形の国内線ターミナルの南側に、同じ形状の敷地が確保されていますが、提案CGによれば矩形のターミナル3が描かれています。シンプルな形状にした方がコストを抑えられ、必要に応じてさらに南側への拡張もしやすいということでしょう。

ただ、T3が必要になるのは30年後ではなく、もっと早い時期になると私は見込んでいます。そして3つのターミナルがフル稼働するころには、現在の2本の民間機用滑走路だけでは処理しきれない発着回数になっているでしょう。それを見込んでか、千歳市は「新たな滑走路整備の検討」を国土交通省に要望したそうです(2019.7.5 道新)

もう一つ、提案の中で個人的に気になったのが「苫小牧港との連携」です。新千歳空港と苫小牧港の「ダブルポート連携」として、

● 非常時の代替輸送力バックアップ

という記述があります。新千歳空港が北海道のゲートウェイとしての位置づけが大きくなるにつれ、北国の宿命である冬季荒天時の対策の重要度も増してきます。地震や噴火などの災害なら「代替輸送」が可能かもしれませんが、気象要因の場合は飛行機が飛べないときはフェリーも欠航になることも考えられ、バックアップがどこまで有効か具体的な検討や調整が必要でしょう。

新千歳空港駅の移転拡大計画

ことし2020年の年明け早々、JR新千歳空港の移転・拡大の報道がありました(2020.1.4 道新)。現在のJR地下駅ではこれ以上の輸送力増強は難しいため、北海道エアポートとJR北海道は、西側に新駅を作って南側に抜けるような大規模な改修の検討を進めているそうです。

新駅の場所は、提案の中にあった「交通・観光センター」の地下です。国内線ターミナル(T1)と 国際線ターミナル(T2)を結ぶ通路の中間付近に位置しています。この地下にJR新駅を移転すれば「ターミナル間連絡BRT」とほぼ直結することになり、利便性が向上するでしょう。

そう、空港の機能だけを強化してもそこから先の地上の輸送力が伴わなければ能力を十分発揮できません。経営難のJR北海道にとっては難しい問題ですが、私に言わせれば北海道新幹線の全線開通以上に重要なことだろうと思うのです。間違いなく、JR北海道の稼げる路線になることでしょう。

おわりに

昨年2019年12月中旬、フィンエアーの新千歳~ヘルシンキ直行便が就航しました。新千歳空港は、欧州にも北米にも近いというメリットがあります。成田・羽田からだとロンドンやパリまで直行で13時間という苦行ですが、新千歳からなら9時間半のヘルシンキ。急がなくていい旅なら乗り継げば少しは楽になりそうです。そんな地理的な優位性を生かした利用向上策って、どうかな。