ATRがやってきた!

北海道エアシステムHAC)の新型機が丘珠空港にやってきました。ATR 42 というフランス・イタリア製の双発ターボプロップ機、JA11HC です。

いま、慣熟中

2020年2月16日、ATR 42-600型機が北海道に到着しました。いま HACが使用している SAAB 340B-WT と比べてひとまわり大きい機体になり、座席数が36席(1+2列)から48席(2+2列)に増えました。日本では50席に対して客室乗務員1人なので、乗務員数は今のSAABと変わりません。必要な滑走路長も基本的に1,200メートルで良く、これもSAAB機とほぼ同様らしいです。(天草エアラインのATR 42-600型機は、滑走路長1,000メートルの天草空港で運航されている)

HACは、SAAB 340B-WT を順次 ATR 42-600 に入れ替えていく計画です。国内では、すでに天草エアライン(AMX)と日本エアコミューター(JAC)が ATR 42-600を運航しています。HACは、同じくJALグループであるJACへの整備委託や共通事業機としての融通などを考慮した上で、この機種選定を行ったのでしょう。

HACのfacebookによると ATR 42-600による訓練飛行を始めており、2月18日に釧路と函館、21日に三沢、そして24日には奥尻と利尻をそれぞれ往復したようです。慣熟や訓練は、いましばらく続けられるでしょう。ATR 42-600の訓練飛行航跡は こちら

▲ HACの ATR 42-600JA11HC

HACの路線

これまで、私自身はHACを利用する機会がありませんでした。ちょっと興味を持ったので、2020年3月時点で HACの路線図を作成してみました。とてもシンプルです。

▲ HAC路線図(地理院地図に加筆)

空港間を直線で結んだだけなので、実際の飛行経路とは異なっています。曜日や日によってやや増減があり、便数の多い路線は太くしてあります。

「道民の翼」というのにオホーツク沿いにHAC路線がないのは、新千歳空港との間を他社便が結んでいるからですね。稚内空港(2往復)、女満別空港(6往復)、中標津空港(3往復)路線が新千歳空港から出ています。(紋別空港は羽田からの1往復のみ)

機材の時刻表

現在HACが使用している機材は、SAAB340B-WT が3機です。「-WT」は Wing Tip (翼端)を約60センチづつ延長したタイプとのこと(HAC facebook より)

SAAB340B-WTの翼端

JA01HCJA03HCの3機をフル稼働させ、丘珠空港ベースで日に13往復のフライトを実現しています。最長の三沢でも片道1時間とはいえ、1機あたり平均4往復以上を毎日続けるって大変なことでしょ!? 飛行機と路線の割り振りをどうしているのか、2020年3月の時刻表から探ってみました。

▲ 飛行機の時刻表

朝一番、7時45分に丘珠空港を出るのが函館行です。1往復して丘珠に戻り、再び函館に向かった後、函館から奥尻を往復して丘珠に戻ります。午後に釧路を1往復した後、函館もう1往復してこの日の全10フライトを終わります。

▲ 飛行機の時刻表

2機目の朝8時ちょうど丘珠発は釧路行(3月1,8,15日のいずれも日曜日は運休)です。釧路2往復した後、函館を2往復する全8フライトです。夕方の函館往復便は、土・日・月曜は運休します。

▲ 飛行機の時刻表

3機目は、通常は函館往復から始まりますが、3月20~22日の3連休だけは函館ではなく利尻を往復します。その後、三沢を往復してから利尻を往復します。最後に釧路を1往復して全8フライトとなります。この機は長めの路線(三沢1時間、利尻55分)を受け持ちます。

たった機での毎日13往復26便の運航は、きっとこんなふうに実現しているに違いありません。少ない機材を少しも休ませることなく効率良くフル回転させていますが、クルーには余裕を持たせておかないと厳しい勤務が続くことになりそうです。また、突発的に機材の不具合などが発生することがありますから、その特定や対処に整備士の迅速で的確な判断が求められます。それ以降の便すべてに影響するので、精神的にも大変そうです。

SAAB機からATR機に入れ替わっても、これ以上にスケジュールを改善することは難しそうです。とても上手くできていますから。

ATRデビュー

HACの ATR42-600型機(JA11HC)は、慣熟飛行の後、2020412日(日)からの就航が発表されました。当初の(3月29日就航)予定から2週間遅れです。

▲ ATR運航初日スケジュール

4月12日の日曜日、10時45分丘珠発でまず釧路を往復します。そのあと函館を2往復する6フライトの予定です。この釧路便は往復とも予約でいっぱいですが、函館便にはまだ空席があるようです。(2/27朝の時点)

JA11HCのデザイン

ATRの初号機(JA11HC)は北海道出身デザイナーによる特別塗装デザインだそうで、左右が異なっています。いいかも。

SAAB から ATR へ

SAAB 340B には大阪・伊丹~但馬のJAC便を何度か利用したことがあります。重量バランスの関係で…と、空席があっても後方から詰めて座らされました。近ごろの大型ターボファンの低騒音エンジンに慣れた身には、機内に響くターボプロップの金属音がかつてのYS-11を思い出させるようで、これでもアクティブ騒音制御装置が効いているのだろうかと少々気になったものです。

ATR機は、まだ -42にも -72にも搭乗したことはありませんが、「6枚羽プロペラで室内はより静かに!」などと謳われているので期待していいンでしょうね。HACの ATR 42-600型機で、いずれ体感してみたいものです。

スタイルではシャープな感じのSAAB機が好きですが、-340-2000も製造中止されて久しく、機材の更新はやむをえません。必要座席数や滑走路長などで次の候補を探すと、ほぼATR1択になるのでしょう。

便数を見るとHACの収益源となっているらしい函館路線ですが、北海道新幹線が札幌まで延伸される予定の約10年後には厳しい競争になりそうです。でも「道民の翼」としてHACには頑張ってほしいところです。苫小牧からだと新千歳空港が近いので、丘珠ベースのHAC便に乗る用事は ほぼないのですが、気持ちだけは応援しています。

▲ HACの ATR 42-600JA11HC

※ 写真はすべて、2020年2月に丘珠空港で、やぶ悟空撮影

⇒ HACの ATR 42-600の訓練飛行航跡は、こちら「ATR、北海道を飛ぶ」に。