サーブ機、売ります

航空局が所有していた2機のサーブ2000が、昨年6月に売却されました。JA003GJA004Gです。世界でも数少ないこの機種、これらに注目してみました。

入札

新型コロナウィルスで北海道では2度目の緊急事態宣言が出されました。それも更に延長中で、深刻な札幌市以外でも外出を自粛しています。そんなわけで、今回はネットで見つけた空ネタと 16年前の古い写真から…。

SAAB2000飛行検査機、JA004G

平成31年度の航空局入札結果に、

  • 航空機(サーブ式SAAB2000型(JA003G)1台
  • 航空機(サーブ式SAAB2000型(JA004G)1台

の売却情報が公表されているのを見つけました。これら2機は、飛行検査機として20年近く使われていた機体です。2017年12月に退役した、と飛行検査センターのFacebookに載っていました。

2019年6月の「一般競争入札による国有財産売払い結果」という資料には、1機あたり約5千6百万円(55,695,600円、2機とも同額)で落札されたことが分かりました。一般競争とはいえ1社しか買い手が付かなかった契約の相手方は「法人」と記され、社名はありません。旅客機と違い客室に飛行検査機器を搭載していたので、「特殊機より民間スタンダード機へのレイアウト変更に関する控除」が考慮されて安くなっていたようです。「価格形成上の減価要因」として上記の説明が書かれていました。そうそう、「値引き」といえば森友関連の国有地売却問題で航空局は大変な思いをしたことでしょうね。急に思い出してしまった。

昨年、ネットオークション「ヤフオク!」で話題となった本物のYS-11は、開始価格3500万円、即決価格5000万円で出品されたそうです。これを思うと、SAAB2000の落札額に「0」がもう一つ付くぐらいでもいい気がします。航空局(国)から購入したその「法人」は、すぐに2機とも米国へ売却して「JA003G」と「JA004G」を抹消登録しました。

ヒストリー

Wikipediaによると、サーブ2000の生産機数はわずか63機とのこと。採算が合わなかったといわれる国産機YS-11の機数と比べても3分の1ほどしかない、貴重な機種だったンですね。

SAAB2000飛行検査機、JA004G

これらの サーブ式 SAAB2000型 2機は、

  • 登録番号:JA003G、製造番号:2000-051、製造年月:1998年3月3日
  • 登録番号:JA004G、製造番号:2000-054、製造年月:1998年4月24日

となっています。そして以下の歴史は2機とも同じです。

  • 1998年11月 日本で登録
  • 1998年12月 運輸省(当時)航空局に導入
  • 1999年   (SAAB2000が製造中止に)
  • 2017年12月 国土交通省航空局 飛行検査センターを退役
  • 2019年6月 売却契約
  • 2019年9月 移転登録、抹消登録

フライト・チェッカー

航空局では、ガルフストリーム(2機)やグローバルエクスプレス(2機)を数年前まで飛行検査機として使っていました。そういう機種はターゲットが富裕層であるため、維持していくだけで目が飛び出るような経費構造になっているとも聞きます。飛行検査は、地上無線施設のみならず灯火から人工衛星まで対象が広いため1機種では賄えないし、巡航高度や航続距離などの要求が厳しいなど様々な理由があることは理解します。でも、はたして役所が豪華ビジネスジェット2機種4機を同時期に持つことが妥当だったのでしょうか?

機種が多くなると、操縦ライセンスにしても整備費用や手間にしても、とても非効率で無駄が多くなります。コスト意識の強いLCC各社が単一機種に絞って運航していることからも想像できます。比較検討に当たって「コスト」の優先順位が さほど高くはなさそうな、お役所っぽい機種選定だったのかなぁ。

▲ 飛行検査機の変遷(飛行検査センターの資料を基に やぶ悟空作成。かっこ内は機数)

このたび サーブ2000を手放したことにより、飛行検査センターが保有する機材はようやく2機種にまで絞られて、すっきり整理されたと感じています。

  • ボンバルディア DHC-8-300(Q300)×1機、JA007G
  • セスナ 525C(サイテーション CJ4)×5機、JA008GJA012G

SAAB2000飛行検査機(出典:飛行検査センター Facebook)

さて、この先の JA003GJA004G(共に旧レジ)の運命やいかに。数少ない絶滅危惧種だけに、気になっています。

※ 特記のない写真はすべて、2004年9月丘珠空港の航空ページェントで、やぶ悟空撮影

コメント

  1. アバター Amigo より:

    昨年丘珠の航空ショーで航空局の新しいガルフストリームが展示されていました。「これ何に使うんですか?」と聞いたら「検査機です」と言ってました。「こんな飛行機で検査業務できるななんていいですね!」と言ったら、気まずそうな顔してました。