胆振のアメダスめぐり(3)

これまで、胆振(いぶり)地方にある14か所の気象観測所のうち 4か所(大岸洞爺湖温泉伊達大滝)を訪れました。今回(3)も引き続き西の方、室蘭 を見に行きます。

胆振地方にある気象観測所14か所のマップは、こちらでご確認ください。

室蘭地方気象台

室蘭(むろらん)はアメダス観測所ではなく有人の気象台です。JR室蘭駅から南へ、市役所や市立病院を過ぎて坂を上っていくと、標高40メートルほどの高いところに室蘭地方気象台がありました。住所は 室蘭市山手町2丁目。

▲ 室蘭地方気象台の観測機器

入って左手に、こんな観測場所がありました。アメダス観測所とは違う観測機器も見られます。気象庁webサイトで「室蘭」の気象データを検索すると、非常に多くの要素が表示されます。それだけいろいろな観測機器が設置されているはずです。

アメダスの観測所では見られないもの、その一つに 視程計 があります。

▲ 視程計(室蘭地方気象台)

視程とは見通せる距離のことです。これは 前方散乱型視程計で、「VAISALA, Visibility Sensor」と読めました。左の投光器から赤外光を発射し、空気中の雨粒やちりなどの粒子で散乱した光を右の受光器で観測するのだそうです。散乱が大きいほど視程が悪いという理屈なのでしょうか。

これと同じような前方散乱式視程計を、各地の飛行場でもよく見かけます。

▲ 雨量計と感雨器(室蘭地方気象台)

写真左の雨量計は低い位置にあるので、積雪時にはかさ上げした写真右の雨量計を使うのでしょうか。低い方はヒーターが付いていないタイプのようです。

背の高い方の雨量計はヒーター付きの「温水式」だと思いますが、風の影響を軽減するための「助炭」という外枠リングが付いていません。取付用の骨組みが見えているので、冬季には助炭だけをこちらに付け替えるのかな? 背の低い方を使う理由は何だろう?

感雨器はその名のとおり雨滴を感知するもので、アメダス観測局にはありません。しくみは追って調べることにします。

▲ 温度計と湿度計(室蘭地方気象台)

室蘭では、気温だけでなく湿度もこの通風筒内で測っていると思います。

▲ 積雪計(室蘭地方気象台)

積雪の深さを測ります。このタイプは、一般的なアメダスの「超音波式」ではなく、レーザー光を使う「光電式」です。レーザー光は速度が速いので時間差ではなく位相差で距離を測定します。アメダス大岸で説明した超音波式積雪計と原理は変わりませんが、レーザー光は斜めに当てるようですね。

人体検知器が設置してあるので、人が立ち入ったときはレーザー光を発射しないような保護回路になっているのでしょう。

▲ 風向風速計、日照計および日射計(室蘭地方気象台)

風向風速計日照計はこの場所ではなく、気象台の建物屋上に設置されていました。

風向風速計」に大きなランプが4個も付いています。これは夜間に見やすくするためではなく、寒冷地で凍結防止用に設けられた赤外線ランプなのだそうです。照射する熱で回転軸の凍結を防ぎます。電気代はかかるけど、可動部が多いので良いアイデアですね。

多くのアメダス観測局にもある「日照計」は、日照時間を観測します。太陽が照らした時間で、0.1hなら1時間のうち6分間だけ日照があったことになります。

日射計」は日射量(太陽からの放射エネルギー量)を測定するものです。気象庁webサイトでは「全天日射量 (MJ/m2)」として表示され、1平方メートル当たりの熱量をメガジュール[MJ]の単位で表しています(3.6 MJ = 1 kWh)。このテの単位は苦手なので、深入りしないことにします。

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少し毛色の違うところで、室蘭には「ウィンドプロファイラ」(Wind Profiler)という上空の風(風向・風速)を観測する施設があるはずですが、高台の狭い敷地内には見当たりません。調べてみると、室蘭港の近くにありました。

▲ 室蘭のウィンドプロファイラ

以前に仕事でウィンドプロファイラの観測値を調べる機会がありましたが、実物の局を見たのは初めて。

入口のフェンスに、こんな説明書きがありました。「施設上部のアンテナから上空に向かって電波を発射すると、気流の乱れや雨粒などに当たって跳ね返ってきます。このとき、風向や風速の違いで跳ね返ってくる電波が変化する性質を利用して、最大約12kmまでの高さの風向・風速を10分ごとに観測しています」。

どうやらドップラーレーダーの一種のようですね。敷地にフェンスがありますが、アンテナ周りにも「クラッタフェンス」という金属柵が設けられていました。地形からの反射波を遮断するためのものらしい。1.3GHzという周波数帯を使っていて、雨粒がなくても風を測定できるとは驚きです。

気象庁のウィンドプロファイラについては、こちらをご覧ください。

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次のアメダス、「登別」と「カルルス」は(4)へつづく。

※ 写真は、2020年5月と7月、やぶ悟空撮影