那覇空港、1000から1200に

からのつづき。

出発機の高度制限

那覇空港から北に向かって離陸する航空機に対しても、これまでは高度1000フィート以上に上昇できない制限が設けられていました。

▲ 那覇空港・滑走路36からの標準出発経路(2019年6月20日有効eAIPの図に加筆)

那覇VORTAC(NHC)から321°コースなら 11nm(20km以上)まで、341°コースでは 15nm(約28km)までは高度1000フィートを維持するという、ある意味アブナイ出発方式が設定されていたのです。(こんな低高度でバードストライクはイヤだ)

離陸後30km近くまで高度1000フィート以上に上昇できないとは酷い話です。嘉手納の滑走路05R/Lの最終進入経路を横切る区間だけでなく、ずいぶん広い範囲を上限高度1000フィートで押さえていたンですね。

▲ 那覇空港・滑走路36からの標準出発経路(2020年3月26日有効eAIPの図に加筆)

那覇空港の第2滑走路が供用開始されたのは2020年3月26日。その日から有効のAIPには高度1000フィート制限が無くなっていました。ただし、次の記載があります。

Note RWY36R/36L: 5.0% climb gradient required up to 500FT.

滑走路36R/Lから離陸するとき、高度500フィートまでは 5.0%の上昇勾配が求められます。上昇勾配(すなわち上昇角)5.0%とは水平距離100ft当たり5ftの上昇ですから、高度500ftに達するまでに水平距離10000ft、すなわち 1.65nm(約3km)進むことになります。

離陸機が高度500フィートに達するまで通常より緩やかに上昇すれば、その後に上昇率を大きくしたとしても、1700フィート以上高い高度を横切って嘉手納の滑走路05R/Lに進入する航空機との高度間隔は十分に確保できる、という考えなのでしょうか。

復行

那覇空港の南側から滑走路36R/Lに進入する場合は、嘉手納飛行場の影響はないのでしょうか? いいえ、進入機が着陸をやり直す場合を考えなければなりません。

▲ 那覇空港・滑走路36L・ILS進入(2020年3月26日有効eAIPの図に加筆)

新しくできた滑走路36Lに進入し、復行する場合の飛行経路です。左旋回で高度1200フィートに上昇し、那覇VORTACの方位308°/8.5nmまでは高度1200フィートを維持しなければなりません。嘉手納05R/Lへの進入コースの下をくぐります。

▲ 那覇空港・滑走路36R・ILS進入(2020年3月26日有効eAIPの図に加筆)

滑走路36Rへの進入中に復行する場合は、この飛行経路です。平行滑走路36Lの航空機に接近しないよう、2.4nmまでは直進で高度1200フィートまで上昇します。その後に左旋回して那覇VORTACの方位341°/15nmまで高度1200フィート維持です。高度は以前の1000フィートから 1200フィートになりましたが、15nm(約28km)もの間、低高度を維持させる仕打ちは変わっていません。

滑走路36R/L出発機の1000フィート高度維持はなくなったようなのに、同じ滑走路に進入して復行する場合は上限1200フィート/15nmが残されたンですね。離陸機は上昇できるのに、復行機は1200フィート以上に上昇できないという、この意味が分かりません。

▲ 3つの飛行場(地理院地図Vectorに加筆)

で示した図ですが、再掲します。ながながと書き連ねましたが、ごく単純に言うと、

・那覇空港に設けられていた高度1000フィートの制限が 1200フィートとなった
・最低1000フィート以上の高度間隔は確保されている

ということです。

一部のAIP情報だけで書きましたので、那覇空港や嘉手納・普天間の飛行場の実際のオペレーションを知らず、的外れな部分があったかもしれません。そこはぜひ教えていただけると嬉しいです。

▲ 那覇空港チャートのリスト(eAIP)(リンクしていません)

※ 文中で使用した図は、eAIPのチャートを切り貼り編集し加筆したものです。最新の図や情報は、AIPの ROAH NahaRODN KadenaROTM Futenma などでご確認ください。