飛行検査にB737?

飛行検査にヘリコプター?」からの続きです。固定翼機しかない航空局飛行検査センターのパイロットが、ヘリコプターの操縦訓練を受けているらしいことをお伝えしました。さらに追加の情報を見つけ、想像を膨らましています。

新たな契約情報

前回お知らせした航空局の契約情報に、いくつかの操縦訓練が追加されていました。

  1. 飛行検査操縦士の自家用操縦士技能証明取得訓練(回転翼航空機)
  2. 飛行検査操縦士の定期訓練(回転翼航空機・模擬飛行装置)
  3. 飛行検査操縦士の事業用操縦士技能証明取得訓練(回転翼航空機)
  4. 飛行検査操縦士の陸上多発タービン機等級限定・計器飛行証明取得訓練(回転翼航空機)
  5. 飛行検査操縦士の定期訓練(回転翼航空機)

1.~3.までは前回お知らせした内容です。新たな契約の 4.と 5.の落札日は2020年11月4日、落札したのは共に株式会社アルファーアビエィションです。

まず 1.で回転翼の自家用を、その後 3.で事業用ライセンスを取得、4.で多発タービンの限定と計器飛行証明、と進めるようです。ここまでの落札金額を合計すると、4千万円に迫る数字になりました(4,070,000 + 4,001,800 + 29,323,800 = 37,395,600円-税込)。固定翼のライセンスで働いている操縦士でも、国内でヘリコプターのプロ・パイロットになろうとすると、これぐらいかかるんですね。

また、2.のシミュレーターによるヘリ定期訓練に加えて、5.の実機による定期訓練も追加されていました。回転翼(タービン)ライセンス保持者の訓練でしょうか。アルファーアビエィションの多発タービン訓練機は、茨城県の下妻にあるアグスタA109C、JA6690ですね。

飛行検査にヘリコプター

飛行検査体制の充実

現在、回転翼機の悪天候時の安定運航に資する飛行方式が順次導入されているところであり、その検査の実施及び交通量の増大に対応可能な検査体制を構築するため、飛行検査実施体制の拡充を図っている。

という記述を見つけました。ここでいう「飛行方式」とは、カテゴリーHCAT-Hヘリコプター用計器飛行方式のことです。

調べてみると、2018年4月26日から福島空港(RJSF)で防災関連機を対象にしたヘリコプター用計器進入方式の試行運用が開始されていました。2020年11月現在では

  • COPTER ILS X or LOC X RWY01
  • COPTER VOR RWY01
  • COPTER VOR RWY19

というCAT-Hの3方式が設定されており、いずれも経路長が大幅に短縮されて無駄な大回りがなくなり、着陸までの時間短縮を図ることができそうです。

2019年6月20日からは、静岡空港(RJNS)、南紀白浜空港(RJBD)、種子島空港(RJFG)でも同様の試行運用が始まっていました。静岡空港では、進入だけでなく標準計器出発方式(SID)も含めたヘリコプター用計器飛行方式が設定されています。

  • COPTER MAKINOHARA REVERSAL ONE DEPARTURE (RJNS)
  • COPTER ILS X or LOC X RWY30 (RJNS)

ヘリなのにVOR最終進入パスが3.0°だったりして必ずしもヘリコプターの特性に最適化されているとは言えないような気はしますが、試行運用とはいえ、ヘリコプター専用のIFR出発進入方式が設定されたことは、大きな一歩だろうと思います。その方式の飛行検査を行うためには、ヘリコプターの飛行検査機材と操縦資格が必要になります。

CAT-H試行以前の平成28年度末(2016.11~2017.3)には、ヘリコプター計器飛行方式の導入に関する調査が行われていたことも分かりました。その調査結果を受けて、2018年からの試行運用が開始されたのでは…と想像しています。

このような状況から「総合的、俯瞰的」に判断すると、航空局が飛行検査機としてヘリコプターを導入しようとしていることは、ほぼ間違いなさそうな気がします。

飛行検査にB3も?

さて、飛行検査がらみの契約情報には、ヘリの操縦訓練だけでなくこんな入札公告も載っていました。

  • 飛行検査操縦士の型式限定取得訓練(ボーイング式737型機)

これは操縦士2名にB737型式限定を取得させるもので、座学訓練187.5時間(シミュレーターでの最低22時間を含む)、実機訓練(モーション付シミュレーターで最低30時間)および実地試験を行う、という内容です。

これはこれは 驚きました。ボーイング737を飛行検査機に加える計画なのでしょうか。現有のサイテーションCJ4では不可能な検査項目が近い将来に想定される、ということなのかも。経費のかかるビジネスジェットをようやく手放すことができ、飛行検査機材がCJ4DHC-8-300の2機種にようやく整理されたと思っていたところ。そこに、ヘリコプターの導入は不可欠としても、B3はいったい何に使うのかな?

B3訓練の公告はしたものの誰も手を上げてくれなかったらしく、2020年11月18日付で再公告されていました。今度はどうなっているのか、ちょいと心配しています。

※ 写真はすべて、2020年9月、やぶ悟空撮影