進入コース直下のアンテナ群

新千歳空港の北に、こんなモノを見つけました。いったい何のアンテナだろう?


▲ 空撮写真(2015年6月18日国土地理院撮影の空中写真から)

うっすら正方形に見える敷地がその場所です。滑走路19Lに着陸する飛行機が上を進入していく場所で、国土地理院の空中写真には飛行機も一緒に写っていました。(写真の下辺あたりにFAF :Final Approach Fix が設定されています)


▲ 周辺地図(OpenStreetMapに加筆)

新千歳19Lへの進入経路の真下(赤丸の位置)なので、てっきり航空関係の無線施設かと思いましたが…


▲ 進入道路脇の施設

そこへ行ってみると、どうやら関係なさそうです。「総務省 北海道総合通信局 千歳無線方位測定所」と記されていました。また、

  • 場所:千歳市中央2779-4
  • 施設:方位測定舎
  • 竣工年月:昭和61年12月

とも書いてあり、1986年にできたようです。確かに、1985年9月撮影の航空写真には写っていませんでした。


▲ 奥にあるアンテナ群

上の写真には10個のアンテナが見えています。


▲ アンテナ

すべて同じ直交ループアンテナのようです。アンテナの配置を Googleマップで確認してみましょう。


▲ アンテナの配置(Googleマップに加筆)

左下のアンテナ(冒頭の写真)には「高速掃引受信用空中線」と銘板が付いていました。平成31(2019)年3月に三菱電機が製造したものです。

奥の正方形の敷地に並ぶアンテナ群は「方探用空中線」と総務省のwebサイトに説明がありました。到来電波の方位測定を行うためのアンテナ群らしいのですが、総務省webサイトの説明図と千歳のアンテナ配置が少々異なっているようです。


▲ アンテナの配置(総務省webサイトの図などを基に作成)

ここは、DEURAS-Hという短波監視施設の千歳センサ局なのだそうです。DEURAS(デューラス)の名から分かるように電波の混信源や不法無線局の位置を特定するための施設で、その中でも 300kHz(キロヘルツ)~30MHz(メガヘルツ)の周波数(中波帯~短波帯)を受け持つのが「-H」です。やはり航空機の離着陸などの航法や通信とは無関係ですが、進入経路の直下にあるというのはまったくの偶然なのでしょうか?


▲ 中心に置かれた「空中線切換舎」上にアンテナは無い

千歳センサ局には中央のアンテナがなく、その近くに3つのアンテナが立っていました。


▲ GPSアンテナ

進入道路脇の方位測定舎には、こんなGPSアンテナも立っていました。このメーカー名から、GPSタイムサーバが使われているようです。国内5か所のセンサ局(千歳市、三浦市、東金市、珠洲市、阿蘇市および石垣市)と2か所のセンタ局(三浦集中センタ局および金沢バックアップセンタ局)がネットワークで結ばれているとのことで、高精度な時刻管理が必要なのでしょう。


DEURAS-H(三菱電機技報・Vol.94・No.2・2020 より)

特集論文「短波監視施設(DEURAS-H)」に解説がありました。方位測定の原理などもう少し詳しく知りたい方はご参考に…。

▲ 短波監視施設(総務省電波利用ホームページの写真を編集)

ステイホームで見つけた、Googleマップによる新千歳空港周辺の散策の話題でした。

※ 特記のない写真は、2021年1月、やぶ悟空撮影

コメント

  1. 駱駝 より:

    北広島市共栄の某アンテナ施設も解説して下さい。

    • やぶ悟空 より:

      駱駝さん、コメントありがとうございます。
      43°00′07.38″N/141°34′16.23″Eにある「某アンテナ施設」には、これと似たような方探や直交ループのアンテナもあるようですね。サイズからHF帯なのでしょうが、警察庁の施設で外国の通信傍受を行うシギント(Signals Intelligence)らしいことはネット検索で分かりました。このテの施設にはあまり興味がなく、現役で運用中なら深入りしないほうが良さそうです。

  2. 匿名 より:

    違法電波局の特定アンテナかもしれませんね。コレ以外にも車載器もあり、街中から漏れ出る違法電波を特定します。

    つい先日も小松空港で、空港から数km離れた工事現場で使用していた無線カメラの微弱電波が、実は電波基準に適合しておらず、航空機のGPSに影響を与え欠航や遅延が発生しておりました。

    • やぶ悟空 より:

      小松空港でそんなことがあったんですね。原因となった技術基準不適合なワイヤレスカメラは、DEURAS-Hよりかなり高い周波数帯でしょうか。情報ありがとうございました。

  3. 匿名 より:

    いつも楽しく読んでいます。ありがとうございます。この記事を読んで調べてみたら、無線方位測定装置は、電波法により設置場所が公開されているのですね。なんとなく世を忍ぶ施設の感じがしていたので意外。でも、公開されているのは H だけ。D は秘匿事項か。D は分解能が高いから、設置場所が分かると対策を取られやすいからかなと勝手に想像。

    https://www.tele.soumu.go.jp/horei/reiki_honbun/a72aa21431.html

    • やぶ悟空 より:

      お読みいただき、ありがとうございます。
      私も総務省の告示文書を見つけ、全国6つの-H局を確認していました。
      -Dは道内に20数か所配備され苫小牧付近にもあるようなので、そのうち見つけられそうです。今後ともごひいきに。

      • 匿名 より:

        「進入コース直下のアンテナ群」で思い出したことがあります。宮崎県の新田原基地の(旧)滑走路 (今、Google Mapで見ると×がマーキングされています)の延長線を海側に延ばすと、、、あれ?、アンテナ群がありますねぇ。パラボラの向きから御同類の施設かと。アウターマーカーとかTACANのようなものはないようです。。。ま、深入りはしませんが (笑)、気になりますねぇ。目の付けるところがやぶ悟空さんと似ている?、と思わずニヤリとしてしまいました。駄文失礼。