新千歳に誘導路新設

新千歳空港に新たな誘導路が設けられます。どこに? なぜ?

滑走路と誘導路マップ

▲ 新千歳空港の滑走路と誘導路

現状の誘導路をグレーで、新設される誘導路などを色付きで示した概略図です。ピンクは「平行誘導路の複線化」、水色は「末端取付誘導路の複線化」といわれる整備事業です。

ピンクの「平行誘導路複線化」については2020年に用地調査が行われた段階であり、まだ実際の工事は始まっていません。水色の「末端取付誘導路(北側)」は、国際線側の誘導路「L4S」と併せ、一部の工事に着手したようです。誘導路「B2S」と「L4S」は舗装も完了しているハズと思うのですが、今は積雪の下で確認はできませんでした。同じく水色で示した「末端取付誘導路(南側)」はまだ始まっていないようです。

▲ 北側の末端取付誘導路付近(新千歳空港、2021年2月)

ターミナルビルのフードコート展望スペースから撮影した写真に、新設される誘導路を加筆しました。

▲ 新設される B2SA2SH4S 付近(新千歳空港、2021年2月)

新設される誘導路付近の様子です。誘導路「H4S」と「A2S」の新設工事はまもなく(2020年度内に)発注予定となっていました。

冬季の渋滞

新千歳空港には今でも多くの誘導路があって便利そうなのに、これ以上増やすの? と思うかもしれません。しかし、北国の主要空港がゆえに必要なようです。

例として、北寄りの風で雪が激しく降り続いている天候を想定してみましょう。そんな状況は毎年発生しています。

▲ 降雪時の地上交通流の例

この図は、滑走路01R/19Lを閉鎖して除雪中で、使用滑走路は01Lの1本だけ、という状況です。図の左側が現状の新千歳空港です。黄色い部分は除雪中か未除雪で、航空機が走行できないエリアと見てください。

▲ 平行誘導路D上の出発機(新千歳空港、2020年12月)

通常ですと離陸01L/着陸01Rと2本の滑走路を使い分けますが、滑走路1本だけの運用になると時間帯によって出発機や到着機が滞留し始めます。予めエプロンで航空機の雪氷を除去してから滑走路へ向かいますが、激しい降雪により地上走行中にも翼の上や機体に雪が積もり続けます。途中のデアイシング・エプロンで除氷しても滑走路01末端まではまだ距離があり、出発待ちの航空機が滞留していると時間がかかってしまいます。もし、ホールド・オーバー・タイムを超えてしまうと離陸できないので、いったん戻って再びデアイシングしなければなりません。

ホールド・オーバー・タイム:飛行機に散布された防除雪氷液によって、機体表面への氷や霜の形成及び雪の堆積を防止することができる予測時間(航空局資料)

デアイシング:離陸前の航空機の機体に付着した雪や氷を除去すること(東京航空局資料)

アンチアイシング:雪氷の付着を防止または再結氷を予防すること(東京航空局資料)

エプロンに戻るには現状では滑走路上を走行するしか経路がないため、その間は離陸も着陸もできなくなり、いっそう滞留時間が増すという悪循環に陥ります。また、誘導路上にも雪が積もって航空機の走行が難しくなってきますが、除雪しようにも除雪車両の移動経路(動線)が確保できません。

動線の確保

これらの問題を解決するためのキーワードは「複線化」、現在の誘導路と平行にもう1本増やすということですね。航空機や除雪車両の動線を確保し、滞留を軽減させる策らしいのです。

平行誘導路と末端取付誘導路をそれぞれ複線化すると、図の右側の流れが期待できます。エプロン~誘導路~滑走路という航空機の動線とは別に、除雪車両の動線(水色の破線)が環状に確保できるようになり、滑走路と同時に平行誘導路の除雪も進むことになります。これにより除雪時間が短縮されるだけでなく、航空機と除雪車両の動線の切り替えがスムーズになり、もう1本の滑走路や複線化された平行誘導路の除雪も容易になるでしょう。

さらに、デアイシング・エプロンを南端側に設ける計画もあるので、そうなればホールド・オーバー・タイムを超えることがほぼなくなるのでしょう。

北側と南側の末端取付誘導路の複線化工事は2022年度までとなっていますから、ほぼ1年後には完成するのでしょうが、平行誘導路の複線化工事は土工が少々大がかりになり、4年後の2025年度までの整備完了を予定しているようです。末端取付誘導路(南側)と平行誘導路複線化の場所の大部分は苫小牧市側に属しています。

カメラマンの知る人ぞ知る撮影場所「A10ポイント」は、この工事が始まると消滅することになりますね。

▲ 新千歳空港A10ポイントから撮影、冒頭のピーチA320も(2020年12月)

この記事の元情報は、北海道開発局「新千歳空港の誘導路複線化事業について」をご参照ください。

※ 工事の時期等は、国土交通省 北海道開発局 札幌開発建設部の入札・契約情報などから判断しました。

※ 写真はすべて、やぶ悟空撮影