777、ギヤアップ

離陸した飛行機の脚が折りたたまれ引き込まれていく仕組みに、子供のころからとても興味を持っていました。今回はボーイング777のランディング・ギヤに着目します。

▲ 浮揚直後のトリプルセブン

日本航空のボーイング777-200型機、JA773J の離陸です。ランディング・ギヤは、まだダウンロック状態です。

▲ ギヤアップ開始

1.ギヤアップのシーケンスが始まりました。まず、前脚(NLG)の前方ドアと、主脚(MLG)のボディドアが開きます。これらの扉は地上走行中や滑走中に異物が入りにくいよう、前の写真のように閉じています。主脚のダウンロックが外れて折りたたみが始まっています。

2.前脚の後方ドアが大きく開き、前脚が前に上がり始めました。主脚のボディドアが全開になり、リトラクト・アクチュエーターが主脚を引き上げていきます。主脚ストラットは横方向をサイド・ブレースが、前後方向をドラッグ・ブレースが支えますが、それぞれのブレース中ほどで折れて格納されます。

  • retract : 格納する、引っ込める
  • actuator : 作動装置
  • strut : 支柱
  • brace : 支持具、筋交い

▲ ギヤアップ中

3.脚がかなり上がって、機番の「773」と書かれた前脚の後方ドアが閉まり始めました。主脚ストラット外側に付いているストラット・ドアも一緒に上がっていきます。主脚を機体に取り付ける回転軸部分はトラニオンといわれ、その部分は別にトラニオン・ドアが付いています。ドラッグ・ブレース・ドアは小さな三角形です。

  • trunnion : 砲耳(なんのこっちゃ?)、砲身や機械部品に取り付けられた円筒形の突起(ウィキペディア「トラニオン」)

4.前脚は格納され、前方ドアが閉まり始めました。主脚もほとんど格納状態です。

▲ ギヤアップ完了

5.前脚はドア4枚が完全に閉まりました。最後に主脚のボディドアが閉まり始めました。

6.クリーンな状態になると、どこがドアか分かりにくいので加筆しています。主脚関連だけで大小8枚、前脚と併せると計12枚もの扉があるんですね。

▲ 着陸直前の主脚(左から)

前からだけでは分かりにくいので横からも。主脚の片側4種類の扉はこのとおりです。片側6輪の主脚は、着陸時には13°前上がりにチルトします。離陸後もこの位置だと機体に格納しにくいので、ギヤアップ時には5°前下がりで格納する仕組みになっているそうです。(エミレーツ777-300、A6-EMWの事故調査報告書より)

▲ 離陸直後の右主脚

1.のギヤアップが始まったばかりの状態を、少し斜めから見た写真です。6輪のチルトはすでに格納状態になって、ほぼ水平のよう(やや前下がり)です。ホィール・ウェルといわれる車輪格納部の中で赤ランプが点灯しているのが見えます。

▲ 左主脚の図

写真で分かりにくいところは、この図でご確認ください。

ボーイング777は重量のある大型機ですが、それより小さい767と比べると主脚構造はシンプルといえるでしょう。もっと小型の737A320クラスだと、全長が短いためストラットも短くできるので、ドラッグ・ブレースが省略されてさらにシンプルです。737はボディ・ドアすら省略されています。

▲ ボーイング777-200型機、JA773J

ランディング・ギヤを撮影した機体は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のJAL特別塗装機です。ここしばらくの間、女性蔑視発言などに伴う混乱が続いていましたが、ようやく新会長が決まって費やした無用な時間を戻そうとしているようです(米国の新大統領も、前任者の馬鹿げた4年間を取り戻しつつあります)。しかし、この先の新型コロナウィルスの感染や医療の状況によっては、無観客どころか中止という選択肢もまだ消せないでしょう。日本国内だけでなく、世界中の感染状況に左右される大会なんですから…。

2019年4月から就航した特別塗装のボーイング777-200型機(JA773J)は、オリ・パラ延期された今も当初の予定を超えてこのデザインで飛行しています。

※ 写真はすべて、2021年2月、やぶ悟空撮影