HondaJet、フェリーフライト

HA-420ホンダジェット「N575DM」が新千歳空港に着陸しました。2021年3月26日の11時ごろです。どこから来たのか、Flightradar24で見てみました。

▲ 飛行航跡、カムチャッカ半島から北海道へ(Flightradar24に加筆)

N575DMホンダジェットは、ロシアのペトロパブロフスク・カムチャツキーを出発していました。経路の途中でADS-B信号を地上で受信できずに航跡が途切れた区間がありますが、新千歳空港まで約3時間ほどの飛行でした。

北海道への入り口は紋別VOR/DME(MVE)です。日本/ロシアの空の道の境界は、MVEの北東56nmの「BISIV」ポイント。そこからG583/Y116ルートを経由して日本のFIRに入りました。

▲ 飛行高度と速度、カムチャッカ半島から北海道へ(Flightradar24に加筆)

高度を見ると、なんとFL(フライトレベル)400からFL430に上がっていました。約4万3千フィートという高高度を飛行できるのがホンダジェットのアドバンテージの一つなのですが、ホントに実用できるんだ!

  • Maximum Cruise Altitude: FL430 (HondaJet, Specifications Overview)

HondaJetの開発者でホンダエアクラフトカンパニー社長兼CEOの藤野氏は、次のように述べています。

同級他機が4万1000フィートにやっと上がれるのに対してHondaJetは 4万3000まで上がれる。圧倒的な高度性能があります。例えば皆さんはエアラインに乗っていると思いますが、エアラインはだいたい3万から3万9000フィートの間を飛びますから、HondaJetはエアラインの上を飛びます。(本田財団レポート No.168「HondaJetの開発と認定」より)

トラフィックの混雑に左右されにくい高高度を低燃費で飛行できるのです。


▲ 飛行航跡、新千歳から八尾へ(Flightradar24に加筆)

新千歳空港で2時間半ほど昼休憩を取った後、N575DMが向かったのは八尾空港。途中、長野県の野沢温泉上空でくるりと左旋回していったようです。最終目的地までもう少し…というところまできて、きれいな雪山でも観光したのでしょうか?

N575DM HondaJet の飛行航跡(Flightradar24に加筆)

カムチャッカ半島以前の飛行ルートも気になったので、Flightradar24でさかのぼってみました。

FAA Registry によれば、Registered Ownerは米国カリフォルニア州のサン・ノゼ在住になっており、1か月間有効のTemporary Certificateが2021年3月19日に発行されています。どうやら、日本に売却された米国籍の機体を輸送するフェリーフライトのようです。

サンフランシスコの南東に位置するサン・ノゼ国際空港を発ったのが23日のUTC17時41分(現地10時41分)。北米大陸西岸に沿って北上し、アラスカで1泊。翌朝アンカレッジ国際空港を出発し、アリューシャン列島に沿って西へ。日付変更線を超えてロシアのカムチャッカ半島へと渡りました。ペトロパブロフスク・カムチャツキー前後の区間が最長の3時間超えになりましたが、おおむね2~3時間程度のフライトで区切りながら日本に入ったとき、26日になっていました。

サン・ノゼから八尾までの総飛行時間を計算すると、およそ19時間になりました。航跡の赤色が FL430で飛行した区間です。

さて、サン・ノゼに来る前はどこで使われていた機体なのか気になり、さらにさかのぼってみると…

N575DM HondaJet の米国横断飛行航跡(Flightradar24に加筆)

ミシガン湖の西岸、ウィスコンシン州ミルウォーキーの西にあるWaukesha(ウォーキショー)空港から来ていたことが分かりました。米大陸は広いので、途中のワイオミング州Torrington(トーリントン)空港と ネバダ州Tonopah(トノパー)空港を経由してサン・ノゼ国際空港に輸送されたようです。

高速で移動できるホンダジェットだからこれで済みますが、数十年使われたような中古の単発プロップ機の地球半周フェリーフライトなどを考えると、仕事とはいえ請け負う業者は大変そう。でも、考えようによっては楽しそうでもありますね。

※ HondaJet N575DM の写真はいずれも、2021年3月26日、やぶ悟空撮影

コメント

  1. AMIGO より:

    いや~、スゴイ調査です!とても興味深く読みました!! 

    • やぶ悟空 より:

      入港情報をいただき、興味を持ったので調べてみました。それにしても、flightradar24って凄いですね。